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恋詩

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#創作

鹿だって角を隠したい

鹿だって角を隠したい

地球の嘘は

毎朝窓辺を飛んでる
すずめがよく知ってる

「不器用なほど
角がでててね

器用な嘘ほど
爪でひっかくんだよ」

「そうなの?」

「悲しいときは
しばらく悲しんでいいんだ
というか悲しめムカつけ」

「うん」

「嘘ついても
いいじゃないの」

「うん‥」

「だってさ 
こんな角だって隠したい時あるよ」

「うん‥ 」

「攻撃しないための嘘は
ついてもいいじゃない 」

「んん

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111

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タルトの生地を
むしり取られて

残された
艶やかな苺

ザラザラと
タルトの残りかすが
むなしく

皿に残る

タルトでなくなるまえに

伝えることはあるか

「あなたのおかげで木になった」

「あたらしい水をさがすよ」

神聖なもの

神聖なもの

まっすぐな速度で
それは
手と手の間を
すり抜ける

口という口を閉ざして

あっという間に
すり抜けていく

ああ

″さようなら″

ちくわの中も
あなたの襟の間も
笑わない頬の上も
すんなり
すり抜けて

ぼくの袖を引っ張り
ここがバス停だという
一通の神聖な手紙が
来る頃には

すでに
過去の出来事に記録され

ぼくの指先は
1分後に
皿回しの神経を整えていく