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恋詩

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2023年8月の記事一覧

月だけ知ってて

月だけ知ってて

わたしが送った
夕暮れのなみだと-15℃のリボン

あなたがわたしに送った
葉脈のため息

月だけ知ってて

「8月の朝
  踊るシジミ蝶 
  季節はずれの春がきらきら
  輪を囲んで ああ 
     まぶしいです」

緑の香り
碧に染まる
二つの石

-山中電車-

がらんがらんの空席が
しばらく目を瞑り
気配を消す

吊り革に体を半分預けて
景色を眺めるあなたと

ドアにもたれながら

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鹿だって角を隠したい

鹿だって角を隠したい

地球の嘘は

毎朝窓辺を飛んでる
すずめがよく知ってる

「不器用なほど
角がでててね

器用な嘘ほど
爪でひっかくんだよ」

「そうなの?」

「悲しいときは
しばらく悲しんでいいんだ
というか悲しめムカつけ」

「うん」

「嘘ついても
いいじゃないの」

「うん‥」

「だってさ 
こんな角だって隠したい時あるよ」

「うん‥ 」

「攻撃しないための嘘は
ついてもいいじゃない 」

「んん

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おわりはじまり

おわりはじまり

水面に映る雨上がりの
雲の隙間
差し込む光

砂利とくっつき虫

クリーム色のため息をつく
睡魔が皮からはみでる

はみでた月は
シュークリーム
まどろみの裾に揺れて

よれよれの叫びの中

もう
聞こえてはこない

彼らの声

月のなかの
小さなウサギ

っxa)u ))

聞こえましたか
小さなくしゃみ

愛をもって
出発の合図  うちゅうより

神聖なもの

神聖なもの

まっすぐな速度で
それは
手と手の間を
すり抜ける

口という口を閉ざして

あっという間に
すり抜けていく

ああ

″さようなら″

ちくわの中も
あなたの襟の間も
笑わない頬の上も
すんなり
すり抜けて

ぼくの袖を引っ張り
ここがバス停だという
一通の神聖な手紙が
来る頃には

すでに
過去の出来事に記録され

ぼくの指先は
1分後に
皿回しの神経を整えていく

18  「月 とうふ ピンクの布」

18 「月 とうふ ピンクの布」

とうふを月にあげた

月の手首に
ピンクの布
とうふをつつむためのふろしき

月はとうふを
きゅっとしぼり

私の恋人の畑から
ほうれん草とにんじんを
そっと抜き

白和えにして
しろうさぎの口に入れた

しろうさぎは
それから
家と家をつなぐ
チャイムになった