<連載長編小説>黄金龍と星の伝説 ‐第二章/ふたつの葛藤‐ 第44話
ナジムの回想 -5
ナジムにとって、街なかをひとりで歩くことははじめての体験でした。
サラは、
夫(ハン)が留守にすることが多かったために、サム王様の寝るまえのお噺のとき以外は、常にナジムは自分の傍におき、街へ出るときも、〝マギラ〟との距離を測りながら、自由にうごくことを許しませんでした。
ナジムは、人びとの行き交うその煌びやかな喧噪のなかを、
まるで夢の中でもさまようように歩いてゆきました。
街なかをしばらく行くと、
どこから現れたのか、いつのまにか少女が目