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スイカを食べたことがない彼。キスしたことがなかった私。
今、私は無性に泣きたくなっている。
涙腺は乾ききっていて、涙なんて出るわけはないのだけれど。ただ、泣きたい気分だ。悲しいことがあったというより、自分では抱えきれなくて。
どうしても言語化できなくて、もどかしくてnoteを開いたのに。何を書こうとしても物凄く安直なような気がして。私は今、途方に暮れている。今日ぐらいは気にせずに書き殴ってもいいだろうか。誰のために書いている文章でもないのに、私は今誰かからの許しを請うてしまっている。
彼氏ができた。
なんだそんなことか、と書いている自分ですら分かっている。そんな簡単なこと。きっとなんだってない。巷には恋愛の情報サイトが溢れていて、それを見ればなにも間違いなんて起こさずに楽しめる。そんな快楽的な一つのイベントだ。
きっとなんでもない。
きっと特筆することなんて何もなくて、心配することだって何もなくて、泣く理由だって何もない。
幸せだから泣きそうなのではなくて。だから彼にはあんまり言いたくない。
彼とのデートに合わせて次の日に落とさないといけない予定が入っているのにネイルをするぐらいには彼が好きだ。夜中に彼の好きなところを持て余してスマホのメモ帳に書き溜めるぐらいには彼が好きだ。こっそり撮っていた音声を寝る前に聞き返してしまうぐらいには彼が好きだ。彼がウインドーショッピング中にいいねと言っていた服を思い返しながら次のデートのための服を衝動的に買いに行ってしまうぐらいには彼が好きだ。彼と会うとき用にアイシャドウを新調しようと選んでいる真っ最中なぐらいには彼が好きだ。
与えてもらってばかりで、なにも渡せていない自分がもどかしい。だけど私はちゃんと彼が好きだ。
こうやって言葉にしないと、なにか大切なものを逃してしまいそうで。私は無意味に焦っている。
不慣れだからだろうか。
一歩でも踏み外したら、私の心がブレてしまいそうで。私はずっとひやひやしている。自分を怖がっている。
彼は本当にこれ以上ないほどいい人で。彼は毎回新鮮に驚いてしまうぐらい私のことを可愛いと言ってくれて。彼が私のことをちゃんと愛してくれているのは私にも分かる。贔屓目かもしれないけれど、こんなに素敵な人はもう見つけられないんじゃないかとすら思う。嫌なところは一つもない。彼を悲しませたくないと思う。
だからこそ怖い。
何かが少しでもズレたら、この恋がスッと引いてしまいそうで。全てを夏のせいにして終わらせてしまいそうで。彼がそんなことを絶対に望んでいないと信頼できるからこそ。そんな結末は彼を傷つけるだろうことが容易に想像できて。だから怖がってしまう。
深夜だからだろうか。ベランダでノートパソコンを広げて書いているからだろうか。
もしも、もしも、と考えてしまう。
もしもこの恋が潮のように引いてしまったら。私はどうすればいいのだろう。
彼が私を好いてくれていても、私がそのペースに置いて行かれたとしたら。その時私はどうすればいいのだろう。
私の今感じている好きだなぁという気持ちは限りなく繊細そうで、脆そうな気がする。ちょんとつついたらコロッと違う方向を向いてしまいそうで。
彼は私のその不安そうな顔に正面から向き合ってくれている。
早いかな?おれはこうしたいけど、しても大丈夫そう?平気そう?次にしとく?とずっと気に掛けてくれる。びっくりするぐらいちゃんと事前に話し合ってくれる。無理やりとか、不意打ちとか、そういうのを私が少し怖がってしまうことを多分ちゃんと理解してくれている。
ありがたいけど申し訳なくて。でもやっぱり彼だからかろうじて上手くいけてるんだろうなと思う。
ごめんね。
キスは私、まだ怖かったみたい。
お願いだから不慣れなところまで可愛いと思っていてほしい。面倒だろうなという自覚は十二分にあるから、表向きだけでも丁寧に向き合っていてほしい。
彼のことをずっと好きでいたいと思っていること。
だからこそ、怖いと思ってしまうこと。
彼を悲しませるような結末を恐れてしまっていること。
傷つけたくないと思うぐらいには、私は彼が好きだということ。
彼の急かさないでいてくれる姿勢に感謝していること。
そういうこと、次に会ったときにちゃんと伝えようと思う。
こういうことを伝えても、きっと彼は真剣に向き合ってくれるだろうと、そう思えるほどには彼を信頼していることも、全部。