微妙な差を感じて、気付いて、言語化するレッスン
ずーーーっと行ってみたかったお茶の試飲体験に行ってきた!🍵
事の始まりは去年受けていたライフコーチングのコーチから「お茶の試飲体験面白かったよ〜」と聞いたこと。
そして追い討ちをかけるように「感性のある人が習慣にしていること」という本でも日本茶の世界が紹介されていたから。
そこからコーヒーもお酒も対して好きじゃない自分にはお茶がベストワンなのでは??と思い付き、この日をとてもワクワクして待っていた。
場所は蔵前にある「A drop.」。
埼玉で小さな茶畑を持つ男性(オーナーだと思うのでオーナーと呼ぶ)が、バーのような小さな一室で試飲体験を開いている。
職場の先輩からオススメされて行ってみたら、見事に大大大正解だった。
私が行った日に飲み比べしたのは、まず
オーナーが“初めて”手で釜炒りした茶葉
オーナーが8回目に手で釜炒りした茶葉
オーナーが師匠と一緒に釜炒りした茶葉(オーナーはこれが正解の茶葉と言ってた)
という3種類。
個人的には「試飲体験=伊右衛門とお〜いお茶の違いを試す」的なイメージだったのでそう来たか!!と思った。
これがとにかくびっくりする程違う。
特に①と③の違いがとにかくわかりやすかった。
①は茶葉の匂いがとにかく甘い。ジャスミン茶か?ってくらいに強い香り。
けれど飲むと意外とスッキリ。香り高さとは対照的に、お茶はスーッと喉を通ってすぐにいなくなってしまう感じ。
香りと味のギャップがある。
対して③は、茶葉の香り自体はまあ、普通。よくある、知ってる緑茶の香り。
釜炒りする時に、ガスではなく薪で火を焚いたらしく、ほんのり薪火の香りがする。
しかし飲むと「!!」と衝撃が走った。
さっきのと全然ちがーーーーう!!!
口の中に入れた瞬間にブワッと広がる緑茶の香り。
喉を通った後もずっと口の中に香りが残る。
もっと飲みたい!と思ってしまうような美味しさ。
乾燥していた茶葉の時の香りは普通だったのに、お湯を通した途端に「どこにいたの?」ってくらいの豊かな香り。
豊かな茶葉の香りの奥の方に、スモーキーな薪の香りも感じる。薪が程よく奥行きに繋がったのは、狙いなのかどうなのか。
芳醇、ってこういう時に使うんだ!と思った。
素人の私でも明確な差を感じるほどに、同じ茶葉からできているというのに全くの別物だった。
オーナーは師匠の凄さを語ると共に、この2種類の違いをあらゆる言葉で説明した。
①は、初めて作ったものだから釜炒りする時かなり興奮していたらしい。
とにかく香りをつけたい!良いものにしたい!夢だった茶葉を自分の手で作れる!!!
そんなオーナーの熱い気持ちがまさに表現されたような香り高さだった。
けれど、飲んでみると「あれっ?」ってなるほどスッキリ。悪く言うと深みがないのだ。
「表面上はよく見せてるけど、中身は大して無い。若者って感じ。
不味いわけじゃないけど、お茶としてはまだまだなんです。」
対して③は、香りはそこまで主張し過ぎず、良くも悪くも“普通”なのだけど
味は第一印象を大きく飛び越えるほど深みがあって、ずっと残る。
思い出に残りそうな、また飲みたいと思ってしまうような、そんなお茶。
ほんのりと感じられる薪の香りのスパイスも、狙ったものだという。凄い。
「決めたゴール(めちゃくちゃ美味しいのは当たり前だけどそこにスモーキーな遊び心を少し加えたお茶にしたい)に辿り着ける安定感もある。
表面(香り)より中身(味)がしっかりしてる。
大物はたいして喋らないのに深みがある、みたいな感じで、若者とは違うんですよね。」
「お茶の作り方についての本を読むんじゃなくて、お茶を何度も作って経験を積みなさいって師匠に言われたんです。
それも恋愛みたいな感じですよね。恋愛小説読んだって上手くいくようにはならないじゃ無いですか。」
こんな風にオーナーは、お茶をよく人に例えていてとてもロマンチックだと思った。
その後も同じ茶葉で茶器を変えてみたらどう変わるのかとか、紅茶でも同じように変化するのかとか、
そんな実験を一緒にしてくれて、一緒に試飲してはその微妙な差を語り合った。
香りとか、風味とか、味とか、奥行きとか、その違いの表現とか、例え方とか、
この微妙な差を日々感じている人は、
きっと必要以上に繊細にもなるし、ロマンチックにもなるだろう。
こんなにも研ぎ澄まされた人なのに、お茶作りに関してはまだまだと言われてしまうのだ。
なんて深い世界なんだろうと思った。
お茶ってすごく面白い!
今回私が感じたのは、“微妙な差を感じる”というレッスンは時々やるととっっっても面白い!ということ。
(本当は毎日やるのが良いんだろうけど、絶対疲れるし嫌になりそうだから時々が良いと思う!(笑))
この微妙な差を自ら感じて、気付いて、それを言語化したり表現をする。
この一連の流れはかなり神経を使うけれど、出来るととっても楽しい。
見える世界の解像度が増して、人生ももっと楽しくなりそう。
そんな風に思った。
感性を高める良い訓練であり、ものすごく貴重で素敵な時間だった。
試飲体験、とってもおすすめ!🍵