2冊目『問題解決』ーWHERE・WHY・HOWの3ステップー
2024年3月は『問題解決 あらゆる課題を突破するビジネスパーソン必須の仕事術』をまとめます。
(とんでもないボリュームになってしまいました)
概要:問題解決の3ステップ
全ての仕事は問題解決の連続である。
つまり
あらゆる仕事の進め方の基本をこの本から学ぶことができる
ということになる。
その手順というのが
(1)WHERE 問題はどこにあるのか
(2)WHY その問題の原因は何か
(3)HOW ではどうすればよいか
の3ステップである。
ここでよくある悪い例を紹介しよう。
このページではあなたはレストラン経営者だ!
あなた:レストランを経営している
原因:「お客さんが来ないのは宣伝が足りないからだ」
対策:「宣伝費用を増額」
この3ステップを踏まずに、手元にあるだけの網羅しきれていない情報をもとに原因と対策を決めつけるとこうなってしまうのだ。
そもそも問題は「お客さんが来ない」ことなのか?
厳密に言えば「営業利益が下がっている」ことかもしれない。
その場合の原因は「原料費の高騰」「商品価格が低い」ことかもしれない。
こういった場当たり的な、一直線にHOW思考になってしまうのは「コインの裏返し」に過ぎない。多くのビジネスパーソンが、これで対策を考えた気になっていると著者は何度も指摘する。
大切なのは、まずその手前。
問題はどこにある?から始めること。
問題は「なんだ?」ではなく
「どこだ?」と考えることの重要性から始めよう。
①WHERE 問題はどこ?
問題を特定するためには
もれなくだぶりなくデータを揃えて全体を把握することが一歩となる。
所謂、どこどこ分析である。
まずは問題を特定するための3つのポイントを紹介しよう。
(1)問題の全体を正しくとらえる
(2)問題を適切に絞り込む
(3)論拠をつけて問題を特定する
(1)問題の全体を正しくとらえる
→もれなくだぶりなくデータを把握すること。
かつ、全体の範囲を上司や関係者でにぎること。
全体と言うと分かりづらいが
例えば…
(例)
対策として
・新しい料理人を雇用しよう→全体として人事制度を含める。
・料理人は変えず食材だけを見直そう→全体として人事制度は含めない。
こういうことである。
まずどこまでを全体範囲とするか、最初に決めよう。
こうして広げたら次は
(2)問題を適切に絞り込む
→絞り込むためには感度の良い切り口で考えよう。
まず「分解」と「深堀り」の違いを理解しよう。
ここでは分解を繰り返して切り口を探し出す。
とにかく分けていく。
分解とは例えば…
(例))
・ランチとディナーで分けて考える
・お客様を男性、女性、その他で分けて考える
・食べ物と飲み物を分けて考える
などのことを言う。
分解が進んできたら4Wで切り口を洗い出すのがおすすめだ。
WHEN いつ起きた問題か
WHERE どこで起きた問題か
WHO 誰が起こした問題か
WHAT 何についての問題か
(例)
・ランチ(いつ)×食べ物(なに) が問題
・ディナー(いつ)×ホール(どこ) が問題
このように一次分析が完了したら、仮説を持って考えよう。
(例)
・ランチのメイン料理が週替わりメニューではあるが、似たようなものが続いていて飽きられているのが問題?
ここまできて問題の目星をつけた、状態だ。(まだまだ…笑)
(3)論拠をつけて問題を特定する
→本当に問題だといえる論拠を明確にしよう。
論拠付けを行う際の四つの軸がある。
①増加または減少が大きい
②改善可能性が高い
③全体に占める割合が大きい
④波及効果が大きい
(例)
四つの軸で論拠付けるならば…
(例)
・ランチのメイン料理が週替わりメニューではあるが、似たようなものが続いていて飽きられているのが問題?
①前年と比べて週替わりメニューの売り上げが3割減っている
→増加または減少が大きい
②週替わりメニューは料理人が一人で決めている状態
→改善可能性が高い
③週替わりメニューの売り上げはランチの6割を占めている
→全体に占める割合が大きい
④SNSの投稿の多くはランチだ(ディナーの3倍)
→波及効果が大きい
このようにして問題が問題であることを再確認する。
(これで1/5くらいの進捗状況である。)
②WHY 原因を追究する
なぜなぜ分析で「深堀り」をしよう。
まずは
(1)因果の構造図を作ろう
→掘り下げができると効果・実現性のありそうな対策となる
問題が特定出来たら、掘り下げを行おう。
因果の構造図を作りながら掘り下げを行うのだが
具体的には下記をベースに作図していく。
・「原因」⇒「結果」
(原因から結果に向けて⇒をつけていく)
・事実のみを記入していく
・さまざまな原因が考えられる場合、主たる原因の⇒は太くする
・打ち止めになるまで掘り下げる
・これ以上どうしようもないものが出てきたら×をつける
・自分を主語にして正しい日本語で掘り下げる
例えば
(例)
・「週替わりメニューの売り上げが低い」ではなく「低くなった」と
正しい日本語で掘り下げる
・「材料の魚が高騰したから」ではなく「値段が高く魚が買えない」と
自分を主語にする
→原因を自分以外の責任にすると問題解決につながる原因は出てこない
そうして少しずつ構造図を作っていく。
(2)手を打つ場所を決めよう
→手を打つ場所、つまり原因を決めよう。
その際には下記に注意をしたい。
①問題解決の効果を高めるために
・「主たる原因」に手を打つ
・全体に影響が出るように手を打つ
・浅すぎず深すぎないところに手を打つ
・立場とリソースを考え、分担しながら手を打つ
②対策の実行性を高めるために
・「単にやってないだけ原因」に手を打つ
・「入ってくる矢印が少ない原因」に手を打つ
③検討の効率を高めるために
・悪循環を断ち切るように手を打つ
・いつくかの原因にまとめて手を打つ
ここまで来て読者の方も気付いてほしいのだが
とにかく工程が多いのが本書の仕事術の特徴だ…!笑
逆に言えば
ここまで細かくできれば確実に有用な対策を見つけられるはずだ。
(ここで2/5くらい…笑)
③小休止 あるべき姿を設定する
さぁ対策を考えよう!
そう意気込んだところであるが
小休止して、問題解決にはそもそも2種類あることを明示したい。
(1)発生型の問題
→これは誰の目から見ても明らかと分かる問題のことだ。
(例)
・料理の盛り付けが汚い
・アルバイトがすぐ遅刻する
など、原因追及によって再発防止が重要となる。
一方…
(2)設定型の問題
→これは見る人によって問題と思うかどうか、違いが出る問題のことだ。
大事なのは「それは問題であると説明する」ことだ。
<あるべき姿>に照らし合わせて
初めて問題と分かる、気付きづらい問題のことである。
ここでいう問題解決における課題とは
<あるべき姿>と現状のギャップである。
原因を見つけて問題解決をするだけではなく
課題を見つけて問題解決を行う時もあるので注意しよう。
では、そもそも<あるべき姿>の設定とはどうすればよいのだろう?
(3)<あるべき姿>の設定方法
なんとなく語れてしまうのが<あるべき姿>である。
しかし組織やチームに所属する以上
必ずや<あるべき姿>について考える日が来るだろう。
(私は人事をしているAI Labの<あるべき姿>を
考える時、とてつもなくわくわくします)
<あるべき姿>を固定するには
この3つの項目で環境分析をするところから始まる。
・大目的の視点(意思 WILL)
・内部環境の視点(できる CAN)
・外部環境の視点(であるべき MUST)
例えば…
・大目的の視点(意思 WILL)
→お客様が記念日などの人生のイベントのたびに戻ってきたくなる店にしたい
・内部環境の視点(できる CAN)
→イタリアンの経験が長く、イタリアで受賞歴もある
・外部環境の視点(であるべき MUST)
→近所には和食の店ばかりだ
となる。
(3)<あるべき姿>の設定方法の続き
→目的と目標を決める
目的は「誰が、何を、どうする?」を決める。
抽象的だが、ベクトルの向きを決めるようなものだ。
主語には注意。相手にどうなっていてほしいのかを書こう。
(例)
お客様が、誕生日などの記念日に行くお店として、当店を選ぶ。
目標は指標化する。
「いつまでに、どの程度」を追加する。
(例)
お客様が、20代のうちに一度は、誕生日などの記念日に行くお店として、当店を選ぶ。
<あるべき姿>の設定がうまくいっているかのチェックポイントとして
・現実のの延長でもなく、夢物語でもない、実現可能な将来の姿を描く
・状況が想像できるよう、しっかりと具体的に書く
・箇条書きの羅列ではなく、矛盾が生じないように書く
・「大目的、外部環境、内部環境」それぞれの情報と関連性を持たせる
を確認しよう。
あるべき姿に到達するには何が足りないのか?
それこそが課題となる。
(例)
現状:お客様の年齢層が40代
課題:20代に響くようなメニュー開発が必要
現状:コースの予約よりアラカルトが多い
課題:コースのメニュー情報をもっと外部に発信する必要がある
<あるべき姿>が設定できていれば、軸はぶれないだろう。
④HOW 対策を立案する
話は戻り、問題を特定し原因を見つけて手を打つことになれば
次は対策を立てる必要がある。
対策とは「意図をもってこれまでと違うことを行うこと」だ。
そして、かつ下記の3点を満たすものである。
・成果につながること
・わかりやすいこと
・着実に実行できること
周囲を納得させられるような。複数の視点から考えたり
持ち駒もひとつでは心細いので複数用意したり
そしてようやく考えた対策案を評価し、実行案を決めるのだ。
必ずや全体への影響もある。
影響を事前にしっかり説明し、理解を得ておくことも忘れてはならない。
(やっと実行!ここで3/5!笑)
⑤対策を実行する
(1)すばやく実行しよう。
→これが基本である。
そのためにタスクを見える化し、全体像を整理、マイルストーンを置く。
(ここまでくると聞きなれた言葉も多くなる。)
必ず「いつまでに何がどのような状態になっていることがゴールなのか」を
共通言語として持とう。
(2)対策実行のモニタリング
→実行中も手が抜けない。
KGI 問題解決の目的、目標を達成したか否かを定量的に示すもの
KPI 対策の実行の度合い、問題解決の進捗の度合いを定量的に示すもの
実行案を仕組化をしよう。
KPIは基準値を設定し、達成されない場合、誰がどう対応するかも予め決めておく。
そうこうしてやっと実行案が進んでいく。
(4/5まできた!)
⑥結果を評価し、定着化させる
(1)実行結果を評価する
さて、やっと実行案が完了した。
さいごに結果と対策の取り組み過程を評価し、PDCAサイクルにのせていこう。
うまくいったならば
・対策を標準化(誰が引き継いでも同じように出来るように)する
・成功要因を抽出する
失敗、または効果が見られないのであれば
・改良し続きを実行
・やり直し
・失敗要因を抽出する
・別の対策を立案する
やり直しの場合、役立つのがKPIだ。
KPI上ではどこまではうまくいっていたのか?
KPI上では、全てうまく実行できたが結果がでなかったのか?
成功、失敗要因をまとめて「見える化」をしよう。
(2)組織に根付かせるのがゴール
実行案を会社全体の資産に変えていくこと。
もっと小さなな視点で言えば、チームの資産に変えていくこと。
横展して他部署に共有すること。
これが真のゴールだ。
(5/5 完走!)
⑦まとめ
筆者はこの仕事術を「思考のOS」と名付けている。
確かに、共有言語として持つことが出来たらどんなに強みになるか。
現状ビジネスの右も左も分かっていない私にとっては
これは壮大な理想である。
しかしながら個人の能力差によるアイディア勝負ではなく
努力で問題解決ができる、自信がついた。
抜けなくもれなく情報を収集して、分解を続け問題を特定。
深堀し、様々な切り口をためすことで原因の特定。
実行策は簡単に。
実行中、実行後も仕事は山積み。
そうしてやっと問題解決の一歩が踏み出された、となる。
一言でいうなら「情報整理」。
私は
まず内部情報、外部情報を情報収集してみよう。
大きな意思(WILL)を確認して
<あるべき姿>を設定しようと思う。
※Noteのまとめが長過ぎたのでスライドに要約しました。
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