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振り子は行ったら帰る。

幸せに生きている。
幸せを生きている。
前よりもずっと。
長い長い、暗い暗いトンネルを抜けて、仄かな光が私の心に届き始めた。前よりもずっと私は私を好きでいるし、私は私を許している。
なんとなくちょっと幸せで、ちょっと肺が広がったような気分だ。


ただ、幸せには揺り戻しがある。


幸せの揺り戻しを覚悟しておかないと、崩れてしまう。

振り子は行っては帰る。それを繰り返す。右に振れたら同じ分だけ左に振れる。そう決まっている。いつだってそう決まっている。


だから私も行ったら帰る。行っては帰る。右に行けば左に戻る。


今、まさに揺り戻しの最中である。


なんとなくちょっと幸せな数日を過ごしていた分、なんとなくちょっと悲しい日がある。


ここ数日、信じられないほどに調子のいい日を過ごしていたから、今日はそういう日。そういう日。そういう日。

震える声で、大丈夫、大丈夫、と呟く自分の声は、頼りない。

もう大丈夫、だったはずだけど。まだちょっと大丈夫じゃなくて、悲しみに支配されてしまう日があって、大丈夫な日が増えれば増えるほど、揺り戻しが大きくなっていく。


幸せの小さい生活を送れば、それなりのいいことがある。

幸せの大きい生活を暮らせば、それなりの揺り戻し。


今日はそういう日だから早めに寝よう。

大きく振れたら、反対の方向にまた大きく振れる。

その振り幅を過ごせたらきっと、小さな波なら耐えられる。

小さく幸せに振れた時、その揺り戻しに耐えるだけの僕がいる。



昨日の幸せを思い出して、ちょっと広がった肺に息を吸い込んで、揺り戻しの最中はその空気を酸素に生きればいい。



振り子は行ったら帰る。
だから僕も。
また戻ってこられるから。

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