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相手の有能さは数秒で見抜ける
人間の有能さは相手の多くの時間を必要としないのでないかという趣旨の論文を読んだのでメモ(1)。
私たち人間は相手の目立った特徴(e.g. 高価な時計)を過大解釈し,その人物がどのような性格なのか,行動を取るのかを推測しようとします。その形成された印象は実際とはかけ離れていること場合があります。具体的にはいかのような例があります。
・こざっぱりした外見は誠実性が高いと判断される(2)
・ゆっくり歩く人は信頼できると思い込む(3)
・眼鏡をかけると頭が良いと勘違いする(4)
このように外見的な特徴や行動によって印象が形成されますが,本人の実際の性格・考えと一致しているかは分かりません。
今回紹介する論文はほんの数秒間その人物を観察しただけであっても有能さや寛容さなどの一部の性質に関して正確に見積もることができる可能性を示唆しています。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74507313/picture_pc_bf0399cdc9cca184e925d1cc0c3eb909.jpg?width=1200)
1993年にスタンフォード大学の心理学教授であるナリーニ・アンバディらが人への評価はどれくらいの時間で決まるのかについて調べるために実験を行いました。
対象となったのは私立大学の女子大学生9人でした。 実験参加者には私立大学の13人の先生の授業の様子を撮ったビデオテープの最初と中間,最後の10秒間の合計30秒間を音なしで見てもらいました。そしてその教師に対して以下の項目について点数をつけて評価してもらいました。
・熱意
・寛容さ
・有能さetc
その後実際にその先生の講義を半年間受けた受けてもらい,授業が全て終わった半年後にまた同じ質問項目に答えてもらいその差を分析しました。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74507326/picture_pc_5f4dec27bbd46498bc3ef50032b1c4da.jpg?width=1200)
実験の結果,教授の講義の様子をたった30秒間見て下した評価と半年間講義を受けて下した評価の間には高い相関関係が見られた。
つまり実際に半年間授業を受けて,教え方が上手く,聴く価値のある講義を行なった教授はわずか30秒間音声なしの講義の様子を基に判断した実験参加者にも,熱意があり,信頼がおけて,好感が持てるという印象を抱きました。
続く実験2では,高校の教師に対しても同じ手続きで検討が行われた。実験2の結果,学校長からの評価が高い教師は30秒間の授業の様子を見た実験参加者の評価が高いことが分かりました。
この論文では最終的に講義の様子をたった6秒間見ただけであっても半年後の評価と一致することを明らかにしています。
また身体的な魅力度(e.g. 顔の良さ)が教師の評価に影響を与えているのかに関しては(5),実験参加者の評価は左右されていませんでした。
この結果から考えると有能さや寛容さなどの印象は人物の話している内容などの要素ではなく,わずか数秒の外見的なてがかりだけで見抜ける可能性があると言えるでしょう。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74509338/picture_pc_98bbf939d19273218d4d9fca937094f1.jpg?width=1200)
(1)Ambady, N. & Rosenthal, R. (1993). Half a Minute: Predicting Teacher Evaluations From Thin Slices of Nonverbal Behavior and Physical Attractiveness. Journal of Personality and Social Psychology, 3, 431-441.
(2)Naumann, L. P., Vazire, S., Rentfrow, P. J., & Gosling, S. D. (2009). Personality judgments based on physical appearance. Personality & social psychology bulletin, 35(12), 1661–1671.
(3)Thoresen, J. C., Vuong, Q. C., & Atkinson, A. P. (2012). First impressions: Gait cues drive reliable trait judgements. Cognition, 124(3), 261-271.
(4)Leder, H., Forster, M., & Gerger, G. (2011). The glasses stereotype revisited. Swiss Journal of Psychology.
(5)Babad, E., AvniBabad, D., & Rosenthal, R. (2004). Prediction of students' evaluations from brief instances of professors' nonverbal behavior in defined instructional situations. Social Psychology of Education: An International Journal, 7(1), 3–33.
■第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい/マルコム・グラッドウェル (著), 沢田 博 (翻訳), 阿部 尚美 (翻訳)
■なぜ直感のほうが上手くいくのか? - 「無意識の知性」が決めている/ゲルト ギーゲレンツァー (著), Gerd Gigerenzer (原著), 小松 淳子 (翻訳)
■第一印象の科学――なぜヒトは顔に惑わされてしまうのか?/アレクサンダー・トドロフ (著), 作田 由衣子 (監修), 中里 京子 (翻訳)
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