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ステルナ!!カニステル。オススメの食べ方。

古本屋で果物の本を買ったのはいつだったろうか、リンゴ、みかん、いちごなど有名どころから始まり徐々にマニアックな果物が増えていく興奮を未だに覚えている。

・金捨てる??カニ捨てる??

その本の中で一際目立った(悪目立ちかもしれないが)果物がカニステルだ。
名前からしてもう目立つ、カニも捨てるからとか、作るのは金を捨てるようだとか、酷い名前だ。
英語由来だとかも聞いたけど、実際どうだかはよく分からない。

名前からしてあまり惹かれないが、逆にここまで言わせるってどういうものだ?と気になって調べてみた。
するとそこにはさらなる悪評が…

・口内の水分が持って行かれるパサパサさ
・食べると喉が乾く
・茹で卵の黄身
・果物というよりカボチャや芋
・10個に1個しか当たりが無いけど、当たりでも美味いわけでは無い
・蒸れた香り、青臭い香り、独特なトロピカル
・完熟じゃないとマズいが、熟しても美味いわけでは無い

などなど、、、それでも売ってるし、噂は聞く。
周りでも2人ほど食べた人がいる。(自慢じゃ無いけど、僕の周りの人らはかなり食オタクなんで大抵の物は食べてる)
まぁ美味いとは聞かないけど、一度は食べてみたいなと思っていたんです。

・おんなの駅という道の駅で奇跡が!

所要で沖縄にいった。
カニステルは沖縄や台湾の極一部で栽培されているが、あまり売れないので出回ることは少ない。
それに旬は2月頃なので、10月には無いだろうと諦めていた。

が、サーターアンダギーを求めて25キロ自転車を漕ぎ恩納村の道の駅”おんなの駅”に行ったら1袋だけ売っているではないか!!
しかし、売っているのは5個入り。
前評判を聞いた限りではそんな食べれる自信は無い。うん。

店員さんに少量のは無いか?できないか?と聞いたが無理。
(道の駅だもの。袋詰めは農家さんがやってることも多いんよね)

迷ってる内に売り切れたら困るので5個買った。
食べきれる自信の無いものを買ったのなんて何年ぶりのことだろうか。
不安と期待と不安をかかえて自転車漕いで帰路についた。

それはそうとおんなの駅に売っている、三矢のサーターアンダギーはめちゃ美味かったのでオススメ。
三矢ボールっていうふわっふわでもちっとした物も美味い。

本店は名護のほうだから遠いけど、おんなの駅なら行きやすくていい。
あ、サーターアンダギーはそのうちnoteにまとめます。

・さて、カニステル

サイズ感はアボカドに近く、触った感じは柿やカリンなんかに似てるかな。
香りはほぼ無し。
この色ではまだまだ硬いです。

小さいカカオみたい。

熟すまで1,2週間はかかると聞いていたのですが、季節が早いからか、暑いからか、2日で皮が弾けたので慌てて冷蔵庫に。
こうなると少し香りがする。フルーツってより蒸れた香りだけど、、、

とりあえず剥いてみた。
桃やマンゴーなどと同じように皮が薄く手でペリペリ剥ける。
尖っている方は熟すのが遅いので包丁を使った。

茹でたサツマイモみたいな触感。
パパイヤを剥いたときみたいに手がベトベトする。

ばらしてみた。
包丁にまとわりつくし、ほろほろと崩れるのでかなり切りにくい。
生の果物なのに煮崩れを心配する感じ。謎い。

種は1つ、芽がでそうなんでとりあえず水に浸した。

・実食!!お味は意外と??

とりあえず盛り付けてみた。
なんとも盛り付けにくい。煮崩れ寸前のカボチャみたいだ。

恐る恐る実食、呼吸を整えて食べる。

うん、意外と美味い!!

とにかく甘い、バナナより甘い。
そして水分が少ない!!
パサパサではなくホロホロ。
キメが細かいので口内のありとあらゆる隙間に入る感じ。

似ている物で例えるなら
・しっかり茹でた卵の黄身とカボチャの間の食感
・水分と粘りを減らしたバナナ
・バナナの根元のちょっと硬い部分みたいな味
・熟成の甘いサツマイモみたいな食感
・カボチャの中でもバターナッツカボチャのようなきめ細かさ
・ココナツやパパイヤ的なアクとベタつき
・ルクマというペルーのフルーツに似ている

総じて言うと俺は意外と好き。
1/2個食べたあたりでクセになってきた。

・カニステルオレはどうでしょう。

潰すとこんな感じ。
なんというか果物とは思えないペースト感。
これが生のフルーツだとは想像つくまい。蒸したカボチャかな?

火入れもしてないし、もちろん漉してもないけどこの滑らかさ。

牛乳でのばしてみる。
しっかり煮詰めたマンゴーピュレとかカボチャピュレだね。

サラサラです。
バターナッツカボチャのポタージュみたいなサラサラ感。
2度目だけど漉してないのよ??というかこのスプーンで軽く潰しただけよ??

飲んでみるとバナナオレと、マンゴーオレと、バターナッツカボチャのポタージュの間のような味。
最大の弱点である水分の少なさを牛乳が減らしてくれるのでかなり食べやすいし、独特の香りやアクがかなり軽減される。

けど、まぁこれならバナナオレのが好きだなぁ。。。

・アイスめっちゃウマい!!からの…

さっきは説明しなかったルクマ。
アレはペルーのフルーツで、向こうではアイスと言えばルクマ味だそう。
バニラ超えの人気って凄い。

一度だけアイスじゃ無いけどルクマスイーツを頂いた事があって、カニステルを食べたときあの味を思い出した。
のでルクマに習ってアイスにしてみる。

まずはペーストにする。
木べらでサクッと潰す。それだけでしっかりペーストになるから驚きだ。

半溶け状態のバニラアイスを加え手早く混ぜる。
ここでしっかり溶けてしまうと再冷凍した際に分離してジャリジャリするので急ぐ。
カニステル1個にバニラアイス140CC

アイスは常温ではなくチルド室でじっくり柔らかくするのがオススメ。

ブルーシールは沖縄代表アイス

とりあえず元のケースに戻して再冷凍。
残りはその場で食べる。

おお!!??うまいぞ!!
想像以上に美味い!!
焼き芋アイスやカスタードっぽい!!

きめ細かいのと水分が少ないおかげで濃厚なジェラートっぽい。
高級感がでますね。ねっとり甘くてうんまい。

上はシークヮーサー、下がウベ

ブルーシールアイスでいうところのウベに似ている。
ウベってのは紫芋と長芋の間みたいな芋で、ネットリ甘いんです。

ブルーシールで一番好きな味だから似てるの嬉しい!!
カニステル、色も鮮やかだしインパクトあるし、沖縄らしいし、ブルーシールで商品化して欲しいな!って思うほどだった…
めっちゃテンションあがったのに。

さて、そう思ったのはあくまで作り中の試食。
だけどそうは変わらんだろうとウキウキでちゃんと凍ったのを食べてみた。
ら、、、なんで??

妙な渋味がいる。
生の時からほのかにいたけど、アイスにしてしっかり凍らせたら凄く際立つように渋味がでてきた。
なんでだ???

確かに皮を剥いたときはパパイヤに似たベタつきがあったさ。
けど食べたらあんま気にならなかったじゃん?
う~~ん、これじゃあアイスとしては食べにくい。

冷凍が原因か、アイスと混ぜたからか、個体差か、なんでだかわからんけど仕方ない。
とりあえず薄めよう。

てなわけで、アイス1P、つまり140ccを追加。
色が薄くなるがこれはこれで良い。
カスタードアイスっぽい味。

そしてなぜだか分からないけど半解凍の状態だと渋味は感じにくい。
ううむ、そういう成分なのかな?

で、再チャレンジ。
あの素晴らしい感動をもう一度!!

結果、、、う~ん微妙!!
チックショ~~~!!

確かに渋味は弱まったけどそれでも存在感はある。
それと同時にカニステルの風味が淡くなってしまって、本末転倒感。
う~~~~む、どうすればいいのか。

そりゃあの美味しさなら既に商品化されてるだろうなぁ。。。
想像以上に難しい子ですね。


・加熱するのはどうだろう。

芋やカボチャに近いんだし加熱するのは常套手段だろう。
ちょうど棚の整理してたらパンケーキミックスがでてきたので混ぜてみよう。

まずは同じようにペーストにする。
木べらで潰すだけでかなり滑らかになるから扱いやすい。

カニステル1個(約100g)にミックス粉150g、卵1個、牛乳200g、ほんの少し重曹を追加。

グリグリと混ぜるだけで綺麗に混ざってくれる。漉す必要なし!

テフロンのフライパンで焼いていく。
油を極々少量ひき、更にそれを拭き取ってから焼くと焼き目が綺麗になる。
油が多いと均一に焼けない。

香りはいい感じ。ほんのり甘くてバナナやサツマイモを混ぜたような香り。

焼き上がりはこんな感じ。
綺麗な黄色でしょ?これ凄く美しいのよね~

焼き上がり!
早速味をみる。
うん!美味い!!ふわっとした中に牛乳や卵の味がでてて、終盤にカニステルの味がくる。

本当に芋のパンケーキみたいだ。
滑らかで良い。

ただし!問題がある。
それはカニステルの魅力、クセとでも言うかな。
あのえぐみや香り、甘ったるさが目立たないのだ。
ただ無難に美味いだけ、これじゃカボチャや芋に負けるわ、納得。

でもなんかもったいないのでさっきのカニステルアイスを添えてみたら、めっちゃいい!!
良い塩梅で渋くて濃い。パンケーキの淡さを美味くいかしてる。
これくらいの比率でカニステル感があるのいい。

クセの淡い生地と、濃いクリーム的な感じで味のグラデーションがあるのいい。
ただなんというか一筋縄では無いなぁ。拭いきれない曲者感。

・持って帰ってきたカニステルは????

5個、食べきる事はできずに持ち帰る事にした。
荷物と一緒に送る。二日後にはつく予定だったのだが、なんだかトラブルでもう一日追加。。。完熟のジュクジュクにならんか心配。

もちろんしっかり包装して送ったんだけどね。ちょい怖いよね。

恐る恐る届いたのを開くと皮がシワシワになり熟れたイチジクのようになったカニステルが!!
こりゃいかんかもな?

持つとブヨブヨで柔らかい、冷蔵で熟させたからか皮が弾けずに完熟になったのかな。先もそれなりに柔らかい。

いざ、剥いて食べる。
ほう??これは!!別物だ!!!!!!

なんというかモソモソしてない!!
もっと水分が多くて少しだけジューシー。
桃やイチジクに近い食感、まぁそれにしては水分少ないけど。
なんだろ、水っぽいカボチャとかに近いかな。
でも圧倒的に食べやすくなった。

香りも甘味も更に濃くなった。
アクは相変わらずいるけど、少し目立たなくなったかな?
うん、これはそのままでそれなりにウマいな。

最初っから冷蔵庫でしっかり熟させたらよかったな。と後悔。
だけどもうこれで最後の1個なのだ。悲しみ。

・とりあえず美味しいカニステルの食べ方

野菜室でじっくり熟させる。
皮がブヨブヨになるまで熟させる。
暑いとこで置いとくとすぐに皮が弾けるので冷す!!必須!!
そのままでもいいが、牛乳やアイスなど乳製品と合わせると水分の少なさを補ってくれるしアクを軽減させれる。
パンケーキなど加熱するとアクやクセが淡くなるが、魅力も軽減する。
アイスは柔らかいくらいの温度であれば美味いが、しっかり冷やし固めるとアクが目立つので注意。
先の尖った所と、種の周りは渋味がいることがあるので気をつける。

アクや癖が淡くなる加熱した生地に、しっかりカニステル味のクリームやアイスを添えて食べるのがオススメ。
自分の中で好きな具合を調整してみて!!

・食べてみての印象
10個に1個ではなく適切に管理すれば多分ウマい。
パサパサではなくホロホロ、きめ細かすぎるから水分を持ってかれる
確かにエッグフルーツ、茹で卵の黄身は近い
カボチャよりバターナッツカボチャ
蒸れた香りも青い香りもする
けど、もう少し人気になっても良いかなと思う美味しさ。
マンゴーやバナナが苦手な方は厳しいかもなぁ。

・ビーガンスイーツに重宝しそうだが?

エッグフルーツとはよく言った物で本当に茹で卵の黄身に似ている。
けど、これは弱点ではなく利点かもしれない。

というのも、昨今増えているビーガンやベジタリアンのスイーツにピッタリかもしれないのだ。

キメの細かさ、まったり感、濃厚さ、色合い、様々な面でビーガン卵黄に使えそうだ!!

トロリとはならないし、乳化剤じゃ無いし、加熱で固まるわけじゃないけど、そこは他の食材でカバーできそうだしさ。
カニステルとアーモンドミルクでそれなりに美味いカスタードにできると思うんですよね。

コーンスターチとかでトロミつけてさ、確かにカニステルの独特な香りやアクは気になるかもしれないけど、そこは何かの果物を混ぜたりしていい感じにできないかな。

カニステルとアーモンドミルクのカスタードに熟した柿、うん美味そう。
あぁ次にカニステルに出会えたら作りたい。けどここには無いのだ…

買った時の5個は多い。。。って不安はどこへ行ったのか。
また出会いたいなぁ~~!!

・カニステル捨てるな!!

誰がカニステルなんて言ったのか。
金を捨てるとか言うなって~

この世にはなんだか不憫な名前の生き物っているじゃない。
オオイヌノフグリとかさ、トゲアリトゲナシトゲトゲとか、ハダカデバネズミとかさ、なんだかそういうのに似てるんかね。

けどまぁ名前でマイナスイメージもたれてるけど良い奴です。
使い方次第だけどさ、そのままでも美味いし、加工しても良い。

名前のマイナスイメージが強いからこそのギャップもあるかもしれんけどね。
偏見持たずに食べてみる物ですね。

もしこれを読んだアナタがカニステルを見つけたらぜひカスタードにしてみてね!
そしてどんな味になったか教えて下さいね。


少しは優しくしたっていいじゃない。

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マツダミキヲ 料理人
最後まで読んでいただきありがとうございます。 どこまでも美味しい料理の為に使わせてもらいます。 リクエストあればぜひ!