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錫森栞
2023年4月11日 22:50
忘れた頃に喉元から咲く花冷えの叢雲
2023年4月4日 18:28
浅葱に浮かぶ月桂に指を伸ばして大強盗何夜も何夜も夢になる幾度か起きてや部屋の底幾度か起きてや深空捧ぐ金色花幾度か目にして手に取った零れ落ちるる金剛花幾度か起きてや海の底気泡に溺れて春の闇
2022年1月17日 19:14
許しが欲しいが誰に頼んでなんの為の許しが欲しいのかはわからなかったただ許されたかった愛が欲しいが誰に頼んでなんの為の愛情が欲しいのかわからなかったただ愛されたかったペンが欲しいが誰に頼んで何に使うペンなのかわからなかったただ与えられたかったそんな夢ばかりを見ていた
2021年10月3日 20:51
新しい石鹸を開ける時が何故か好きだあの柔らかな薫りが包紙をめくるとわたしの鼻先へ流れてくる、あの感覚が好きだ石鹸が消えていく時、私は寂しく感じたり、時によれば早く無くなってしまえと泡立てるそして消えたらまたその事は忘れて包紙をめくるあぁ、私も人間なんだな。
2021年7月25日 20:10
流れていく雲に手を伸ばそうが届かない靉靆を眺めるばかりの窓際の一輪の野花は花弁を落とす水をやる。花弁を落とす。薬をやる。花弁を落とす小さな灯火が最後に燃え盛るような八月某日そこには散った花々の上に蜉蝣がいた
2021年7月26日 17:14
虚構でしか生を描けない虚構の中に愛情が宿る虚構の中と早朝の喧騒に虚無透かし足つけた生暖かい泥の上に寝て湖面の月光が邪魔な目を包めば想い出の狭間孤独の平穏愛と快楽夜と人間の灯り私は湖岬に一人私の手を眺めても体温のまま雨粒眺めても虚構の中でしか生を体感できない