厳しさと優しさのバランスとは/マネアカ⑯
マネジメントには、「バランス」というものが重要です。偏りがないこと。それが人・仕事を管理し、進化させていく上で非常に難しくもあり、腕の見せ所だと思います。
今日はその中でも「厳しさ」と「優しさ」
このバランスについて、お伝えしていきたいと思います。
何でもかんでも厳しくすればよいわけではない
・部下を育てるためには厳しくしないといけないのだ。
・厳しい状況を乗り越えてこそ、強さが身につくのだ。
昔ながらのマネジメントで育った方はこんな考え方をしている方も多いのではないでしょうか。
確かに壁を乗り越えてこそ、人が成長する。ということは僕自身も賛成です。ですが、それはあくまで「乗り越えてこそ」であり、乗り越えられなければ、意味がないのです。
野球を頑張る中学生に大谷選手の球を打ちなさいと打席に立たせて、ヒットを打つまで練習は終われない。頑張れ。
そんな要望をしたら、どうでしょうか。
心が折れるだけですよね。
何でもかんでも厳しい要望をすればよいわけではありません。確かに壁を乗り越える経験をさせることは良いと思いますが、必ずしもそれは高い壁を準備すればよいだけではないと思います。
何でもかんでも優しくすればよいわけではない
昨今は心理的安全性が大事とも言われますし、メンバーには優しくしないといけないと考えている方も多いように思います。中には、要望してはいけないのではないか。難しい仕事を任せてはいけないのではないか。そんな風に考えている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに組織の中で誰に何を言っても、拒絶されたり、罰せられることはないという安心感をもっていること(心理的安全性)は大切です。心理的安全性があるからこそ、思い切って仕事に取り組むことができたり、新しいことにもチャレンジしようと思えます。
ですが、それは必ずしも部下に対して、優しくすれば良いということではないです。
バランスのとり方は人それぞれ
この厳しさと優しさをどちらを大事にすべきなのかというのは、はやり決めることのできない問いです。なぜなら、バランスが重要だからです。ただ、このバランスをとるのが極めて難しい・・・。
おそらく、様々なネット記事を見ても、どのような比率・割合でバランスをとれば良いのか、という解説はどこにも出てこないでしょう。
それもそのはず、相手によっても、
①厳しいと感じることのレベル感
②厳しさへの許容量
が異なるからです。
例えば、1万字にわたるレポートの数か所に誤字がありました。まだ最終稿前のレポートでの小さなミスです。これに対して、「大事なレポートであることを分かっているのか?」「最終稿前だからって、気を抜いていたら、いいものができないぞ」なんて言われたらどうでしょうか。
いやー、それは厳しくね?と感じる人もいれば、まぁ言わせておけ。くらいに感じる人もいるでしょう。
また、「厳しいな」と感じる人も、このようなコミュニケーションが3回続くとどうでしょうか。
「またかー」と思う人もいれば、「もう止めてよ・・・」と思う人もいると思います。人それぞれ違うのです。
バランスをとることを諦める
ただ、このバランスを一人一人に合わせて、適切にとることの難度は極めて高いです。
どうすれば良いでしょうか。
僕が中間管理職8年間の経験で見出したのは、相手を全力で褒めることです。厳しくする必要もないし、優しくする必要もないのです。
ただ、良いことは全力褒める。ダメなことは普通に叱る。
そして、必ず仕事に対しては常に厳しく、人に対しては常に優しくすることです。
そもそも、厳しさとは、体罰をしてはいけません。
怒鳴りつけたり、精神的に追い詰めるのは論外です。
また、人を否定するようなことがあってはいけません。
あくまで小さなミスを見逃さない。甘え・妥協を許さない。ことを厳しさといいます。
つまり、仕事に対する厳しさなのです。
厳格な顔をして、話しかけにくいオーラを出し、声をかけても怪訝そうな反応をすること。これは厳しさではありません。
勘違いしないようにご注意ください。
終わりに・・・
部下に対してもっと厳しくした方が良いのか。
もっと優しく接した方が良いのか。
悩ましいですよね。
自分のマネジメントが厳しすぎるのか、優しすぎるのか、ちょうど良いのか。ということも比較対象がなく、なかなか気づきにくいと思います。
バランスをとることが理想ではあると思いますが、個人的にはバランスをとることは諦めて、
全力で褒める。普通に叱る。
これを実践するのが良いように思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。