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読書ログ2 『カフカ断片集:海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ』 フランツ・カフカ/頭木弘樹 編訳
気軽にいけそうなもの、読みやすそうなものをついつい。カフカの小説なら『変身』と『審判』を読んだのみで、『城』『アメリカ』などは手つかずで残している。あとちくまのカフカセレクション全三巻。読めばいいのに。
ともあれ気軽そうなものをと買い求めたのが以下の一冊。
『カフカ断片集:海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ』 フランツ・カフカ/頭木弘樹 編訳
アマゾンでは新品は売り切れているが他では買えた。あたくしが買ったらそこも売り切れた。リアル書店には在庫あるのかしら。絶版にするには惜しいぞ。
頭木弘樹氏の本はこれまで四冊読んでいて、信頼できる書き手なので今回も安心して買った。そうして読んでみたらばもう大変。収録された断片たちは不可解かつ不条理、美しくあり悲しくあり、シリアスにしてミステリアス。不安や絶望という通奏低音のもとに書きつけられたこれら、なんともうまくいえないんだけど、これがカフカなのかと思うとね、さすがに世界文学というのは違ってくるものだなと。感動したとか涙したとかそういう種類のことでもない。ただただ驚いた。打ち震えた。カフカは断片という書き方によって、一発一発、何かを撃って仕留めているように見える。本人がどう思ってたかはわからんが、ここでは確実に何かが撃ち落とされている。読者は落ちてるものを拾って歩けるのでありがたい話。これが長編だともっとゆっくりと、毒か薬かわからんもんが回ってくるんだけど、断片だとスパスパとやられていわば快感。即効性がある。酔う。
『審判』を読んだのも昔のことなのだが、そのときの興奮が甦ってきたような感じがして、他の作品も読みたくなってきているところ。惚れ直したわ。世界は広い。いい本も多い。味わいたいものです。
さてこれでレビューになってるんでしょうか。どうでしょうか。筆を置きます。
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