りぼん(奔馬) 川柳84句
三次元積木の家に亀一個
文字盤の固有名詞をつかわない
田村家にきりたおされた時間の樹
観音の吹奏楽士野にはなち
ひとコマの津島修治の超漫画
動名詞とするフルーツバスケット
のべぼうを不在の母に買っておく
いりごまに地球時代を秘めて煎る
東宝にパントマイムの闇の奥
春寒し阿房列車に石を置く
花札に青島省の輪廻する
誰やらに海老の教科書わたす日は
妣が国まで泳ぎつくブル中野
いかにして眠る秀樹もすでに亡し
黒人のトムとジェリーの模型盗る
磯野家のひかりあふれる手術室
河馬を焼く空間時間へとにじみ
細川の王政復古するたまご
すなめりが虹みるための水の星
楢山に被告ひとりが立っている
狩野派が狂いはじめて王に雨
極東の包丁人と異類婚
逆ドグラ・マグラによってひずむ脳
あさり埋めX線のことを書く
鉱山のポルノスターをかりに縫う
磨かれてマス・オーヤマの空気銃
焼豚を学生帽とともに焼く
石板に水木しげるの描くエホバ
湯の花がアメリカ人につきまとう
むれなして点滅中の普賢たち
教皇が岡村さんを彫るだけの
イカ天の春の画像がみんなうそ
むなしいなみんな水溶液として
地球浮く桜のしたのジャグリング
東宝に子のない父のひも結ぶ
チャコと成る別段落に試験管
王様が偏執をするまんじゅう屋
高慢と偏見に切るパンの耳
松原にマックイーンのもつブロブ
ぶよぶよのレキシントンに風見鶏
春闌けて大江戸線の犬を書く
かくれざとパズルを外す音みちて
南島に居ないかぎりの自同律
珍姓がアスパラガスを出荷せず
ならび立つ豊田商事とヤンキース
春と云う土管のおおい原始林
実物の錯乱坊を読みあげる
国やぶれ原風景に智ノ花
玻璃としてかがやいている肺魚鉢
原題にミルクセーキがない四月
蠅生る父のふえない大家族
柴犬が天地創造後に哭けり
鞭をうつ街にひとりのアズマニア
若もののひとりに借りる羊肉
図解から蟹を工作するトオル
不死蝶を銭湯内にはりつける
春の富士フォークシンガー受精して
焼豚を信じていない紙の檻
監督と監督つなぐブルロープ
観音をくさりにつなぐラジオ局
タコスわる秩父をにくむ心して
段丘にしっかりとあるアーモンド
言語なき社会のなかの地鎮祭
バラモンがおどる薬局閉局し
原宿が言語のうえの亀とたつ
氷沼家が独唱される弁当屋
オリゴ糖ひとの触角そりおとし
英霊のバス停消えてゆく四月
精神にコミックショーの正午過ぐ
鶴光の言語に時が失われ
バカボンの翻訳おわる放哉忌
火遁する忍びの家に放哉忌
戦前に数字を愛せ放哉忌
宇宙の図いちまいひろげ道鏡忌
神国の雁之助忌に撮る写真
沈みゆく戦艦大和味噌をつみ
変声期鉄腕アトム娑婆にでる
いとひろき江川卓のパノラマ視
ガンダムに湯気たちのぼる烏賊リング
刈りおえて空手の庭にあぶらだこ
体内に死後わだかまる永久歯
水素屋によってたかって書くリスト
餃子屋の裏垢にくむ親王記
存在と時間とパンダコパンダ忌
#川柳 #詩歌 #文芸 #エンターテインメント #道鏡 #オリゴ糖 #湯の花 #東宝 #大江戸線 #珍姓 #水木しげる #放哉忌