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詩)白昼の回転木馬

どこへもゆけない気がした
白昼の交差点
交差点の真ん中には 
とまることなき回転木馬
軋む雑踏の股の下
響む乾いた電子音

信号機はオーバーヒート
鳴り響くクラクションに急かされて木馬は
どこへと走るの
蠢く群像の間から
響く乾いた笑い声

ああ、みんな僕を笑っているんだろうに
被害妄想何べん何度くりかえす
そして木馬はピンとはりつめる

木馬は交差点から
逃げようと思い立ち
鎖を切ろうとしてみたが
鎖なんてものはみつからず
響む乾いた電子音

ああ、僕は逃げることすらできないのだ
上下運動たまにストライキ
けれどもまわりの景色は回る

諌める目玉は天にはあらず
半透明のアスファルトから
ぎろり
 
木馬はしかたなくかなしみを流そうとしてみたが
ながれるものはなにもなく
さんざめく会話もつながらず
木馬は空を見仰いだ

天使が踊る飾り屋根の上
真昼の月がぐふりと笑った

どこへもゆけない気がした
白昼の交差点
交差点の真ん中で回転木馬


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