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空飛ぶサッポロポテト

あの日も、風の強い日だった。

私はスーパーの帰り道で、ママチャリの前かごにめいっぱい買い物した袋を載せ、風で危ないので頭を低くし、ゆっくりと押しながら歩いていた。

するともの凄い一陣の風にあおられて、前かごの買い物袋の結び目が緩かったのか、サッポロポテトの袋が飛び出し、あっと思う間もなく彼方に飛んでいってしまった。

サッポロポテトって、あんなに飛べるんだ。

思わずあっけにとられていると、少し離れた公園で男子たちが大騒ぎする声が聞こえてきた。強風の中なんとか自転車を停めて見やると、

「空からサッポロポテト降ってきたぜ~!!」

と口々に言い合い、大盛り上がりの地元の男子中学生5人組。

あまりに大ウケして盛り上がっている様に、名乗り出るべきかそれともそっと立ち去ろうかと考えていたら、私が見ていることに気付き事情を察したらしく、5人でサッポロポテトの袋を持ってきてくれた。
みんなのそのちょっと残念そうな様子がおかしくて可愛かったので、
「いいよ、みんなでこれ食べな~」
とあげたら、やったぁ~!!と大喜び。

あんなに喜んで食べてもらえたらサッポロポテトも本望であろう。そう思いながら自転車で出発しようとすると、あのーーー!と言いながら5人組が追いかけてきた。そしてリーダーっぽい子が「やっぱり、これ、いいです」と、サッポロポテトを差し出す。

「えー、いいよ、あげるよ~」と何度言ってもモジモジしたまま差し出すので、私は「そっか、ありがとうね」と言って受け取った。

すると5人は来た道を戻りながら、また皆で

「サッポロポテトが降ってきた~♪空飛ぶポテト~♪ナナナナ~」

とでたらめに歌い、笑いながら帰っていった。


なんて気持ちのいい子たちなの……!!
ほっこりと温かい気持ちに満たされた。


そして心の中で、謝った。

ごめんね。目が合った一瞬、君たちは知らんぷりするかな、と思っちゃったんだ。
中学生の男の子って、何となく未知の生き物みたいな不安があって。

未知の生き物なんかじゃなかった。
ただただ気のいい子たちだった。

サッポロポテトを食べると思い出す。その素朴でやさしい味わいは、まるであの子たちみたいだな。

サッポロポテトが空を飛ぶ日は、陽気な歌声が聞こえてくるかもしれない。

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いちご牛乳
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