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かめやす
2022年5月23日 15:03
静寂が肺を満たす。静かに寄せては返す波の向こうに、私は昨日の夢を夢見ている。波はまだない。時は止まっている。凪いだ岸辺に、舟が一艘泊まっている。明日は風が吹くだろう。その時にまた、私は岸を離れるだろう。舟を漕ぎ、一人沖へ向かって、名も知らぬ何処かへ旅に出ようとするだろう。すべてのものには名前はまだない。まだ、今のところは。
2022年5月14日 04:37
弛緩しきって降り立つ場所を探す時もうすぐ先に限界はある筋肉の繊維のひとつひとつをひび割れた細胞の欠片を思う金属質の唸るような風切り音に紛れて大停電の夜は続く夜も明けきらぬ 眠りも覚めぬ頃風の中で錐揉みに揉まれて舌の上に広がる極上の味を天罰と受け取って果てに向かって 飛ぶ
2022年5月7日 18:24
海岸沿いに立ち尽くして 果てのない夜の旅砂に埋もれる足の指果てはない けぶる夜の彼方夕闇色の気配を纏って 裾から覗いた踝の硬い骨淡い骨の色を辿って あてのない旅に出る耳の奥に残っていた 夕まぐれの風を切り裂いて身体は前へ飛んでいくもっと遠く 果てのないところへ宵闇を切り裂いた夜の風 引き裂いて肌に纏えばいつまでも胸の奥で 澄んだ音で鳴る風の色ひとつ残らず掴んで 今はただ風に
2022年5月6日 22:47
柔らかかった涙の味は柔らかかった紫陽花に降る雨濡れた葉の上に光るしずく水滴は雨樋を伝って 静かに流れていく向こう見ずな海岸線 振り返っても誰もいなかった空はぼんやりと曇って舌の先が痺れた今日は海に抱かれる夢を見て塩辛い眠りの中明日は素肌の上 名も知らぬ魚と泳いでいる遠くまで 君と……