紫陽花の雨

柔らかかった
涙の味は柔らかかった
紫陽花に降る雨
濡れた葉の上に光るしずく
水滴は雨樋を伝って 静かに流れていく

向こう見ずな海岸線 振り返っても誰もいなかった
空はぼんやりと曇って
舌の先が痺れた

今日は海に抱かれる夢を見て
塩辛い眠りの中
明日は素肌の上 名も知らぬ魚と泳いでいる
遠くまで 君と……