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かめやす
2020年4月29日 21:31
遠浅の日差しの中痛み止めを飲んで華奢な脚をゆらゆら動かした砂浜の温かさに皮膚も呼吸している澄み切った季節も滲んでまばらに通過していく波打ち際に貝殻を捨てて湿った空気の中で手足をひらひらさせている空気は生温かった空は白かった春には名前がない貝がいくつも打ち寄せられてそれらの全ては押し流されて海鳥の餌になる
2020年4月23日 16:16
遠くへ行けば行くほど言葉は溢れるけれど緑滴る五月に向かって林は雨を溜め込んで土に水を含み木漏れ日に柔らかな風を吹かせて誰もいないところで待っている待っている柔らかな肌に傷をつけたあの日にもう二度と来ない春の宵に
2020年4月18日 09:48
雨が窓を打つときは前世の記憶にしたがってそっと耳を傾ける記憶は妄想の彼方で いつも静かに眠っている深い眠りに包まれていた遠い日に 雨の降り注ぐ細かな水滴の走る音滔々と流れる川の水を湛えて揺蕩う様子それらのすべてに意味はありそれらのすべてに意味などなかった 手のひらを走る葉脈に沿って流れる記憶の彼方にすべての過去が 消えていく
2020年4月4日 22:55
焼けつくような孤独の果てに人は何の夢を夢見ているのかいずこへ いずこへ行こうとするか 石で出来た冷たい十字架不穏な時代に共鳴している 白い肌に流れる血石段の踊り場まで流れて絶え間なく床を濡らしていく血も涙もない人形になってもう一度冴えない時代に生まれ変わる神の僕礼拝堂の隅で 擦り切れた羽根に見とれていた静寂が谺している血の色は呼吸している…