花冷え

遠くへ行けば行くほど
言葉は溢れるけれど
緑滴る五月に向かって
林は雨を溜め込んで
土に水を含み
木漏れ日に柔らかな風を吹かせて
誰もいないところで待っている
待っている
柔らかな肌に傷をつけたあの日に
もう二度と来ない春の宵に