水のゆらぎ

雨が窓を打つときは
前世の記憶にしたがって
そっと耳を傾ける
記憶は妄想の彼方で いつも静かに眠っている
深い眠りに包まれていた遠い日に

雨の降り注ぐ細かな水滴の走る音
滔々と流れる川の
水を湛えて揺蕩う様子
それらのすべてに意味はあり
それらのすべてに意味などなかった

手のひらを走る葉脈に沿って
流れる記憶の彼方に
すべての過去が 消えていく