大丈夫 大丈夫
息子の高校受験、出願の日。
プランターのクロッカスが咲いた。明るい黄色の花たちが、応援してくれている気がする。
ふたりして、自転車で駅へ向かう。風もなく、温かな日だ。息子から、少し離れて、後をついてゆく。自転車の運転、もう大丈夫だな。
駅から駅へ。乗り換えて、高校の最寄り駅まで、ずっと少し後ろをつけてゆく。駅で分かれ、息子はひとり高校へ向かい、わたしはそのまま待機。
大丈夫になったなぁ。
ベンチでぼんやり思った。
息子は、調子を崩しがちになって、どんどん今までは出来ていたことが、出来なくなっていった。それは、胸が塞がるように、辛く苦しいことだった。
そして、今はゆっくりと、また出来ることが増えてきている。それが、とてもうれしく、ありがたい。あのとき出来なくなったから、出来ることが、こんなにもうれしいのだろうなぁ。
そのときは辛く感じることも、日が経てば、しあわせにつながることもあるんだ。身を切られるように辛かった、あのときがあるから、よりしあわせに感じることだってあるんだ。
あのとき、辛さから逃れようと、必死にあがいたけれど、どんどん追い詰められていった。気力もなくなり、なんとかしようをあきらめて、すべてを受け容れたら、ゆっくりと、いろいろなことが明るい方へ動き出した気がする。本当に、不思議だ。
身を委ね、逆らわず、ゆったりと生きられるようになった。不安が格段に減り、未知のものにおびえなくなり、先々のことを悲観的に考えなくなった。
息子の笑顔が増えて、わたしの笑顔も増えた。夫の表情も明るい。こうやって、笑顔は循環するのだなぁ。しあわせだなぁ。ありがたいなぁ。こう思えることにも感謝している。
息子がこの高校に、たとえ入れなくても、ただ縁がなかったんだろうなぁと思えそう。ダメならダメで、そのとき、また別の道を考えたらいいんだ。
受験をしようとしたこと、そのために体調を整えたり、勉強したり、調べたり、行動したこと、全てが息子の何かになっている。
もちろん、出来たら合格してほしい。満足に中学校生活を楽しめなかったから、今度こそ、楽しい高校生活をおくってほしいと心から願っている。
30分ほど待ったところで、息子からLINEで、無事に出願が終わったと連絡が入った。合流して、話を聴く。
先生おふたりと、軽い面接があったようだ。きちんとできたと、笑顔の息子。ひとりでできたことが、また自信になったね。
大丈夫、大丈夫。
こうやって、大丈夫を、これからも積み重ねていこう。
さぁ、受験は来週だ。
ベストを尽くせますように!
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