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#4 自主トレウォーミングアップメニュー解説①

福岡県北九州市で整骨院を2軒経営しながら、プロ野球選手の個人トレーナーや社会人野球・大学・高校野球部のトレーナーをしている、「石橋英志」の独断と偏見だらけの投稿を配信中。

今回の投稿で分かることは、



静的ストレッチのポイント

1種目を30秒以内にする。30秒から40秒をこえると、筋出力が低下するために注意する。全身の筋への血流量を増やす目的で行う。

動的/静的ストレッチミックスのポイント

・スタート地点・中間地点(約15m)・ゴール地点(約30m)にコーンを設置する。
・静的ストレッチ→動的ストレッチをミックスして行うことで、全身の筋への刺激を全体的に効率よくいれることができる。
・静的ストレッチを約20秒行い、動的ストレッチは5回行ったのちにゴールのコーンまでジョグを行う。

⒈下半身系メニュー

下半身の筋に刺激を入れる。股関節・膝関節・足関節の運動方向を意識して全ての運動方向に刺激が入るメニュープログラムにする。
【種目】
1立位での大腿四頭筋ストレッチ:静的ストレッチ
2ランジダウン:動的ストレッチ
3内転筋ストレッチ:静的ストレッチ
4内転筋伸ばし:動的ストレッチ
5サイドランジ内転筋伸ばし:動的ストレッチ
6股割サイドベント:静的ストレッチ
7ランジ片手のばし(上):動的ストレッチ
8ランジ片手のばし(前):動的ストレッチ
9World Greatest Stretch:静的ストレッチ
10バックランジツイスト:動的ストレッチ
11ハムストリングスのストレッチ:静的ストレッチ
12伸脚足上げ前/横:動的ストレッチ
13下腿三頭筋ストレッチ:静的ストレッチ
14屈曲足上げ前/横:動的ストレッチ
15クロスランジ:動的ストレッチ
16キャリオカ:動的ストレッチ
【解説】
〔ランジダウン〕
ポイント:後脚の腸腰筋遠心性収縮、前脚のハムストリングス・大殿筋の収縮を意識する。
・2歩あるいて→シングルレッグランジ後に腰を落とす→2歩あるいて→逆脚のシングルレッグランジ後に腰を落とす→繰り返し。
・シングルレッグランジ時に骨盤前傾・腰椎前弯増強・膝関節の前方移動が起こらないように注意する(#5ランジの方法(準備中)を参照)。
〔内転筋伸ばし〕
ポイント:大内転筋に収縮-弛緩の刺激を加える。
・横向きで股割姿勢になり身体を左右に動かして、内転筋をストレッチする。
・ターンをして逆向きになり同じように身体を左右に動かして、内転筋をストレッチする。
〔サイドランジ内転筋伸ばし〕
ポイント:後脚の内転筋群の遠心性収縮を促す。
・横向きでサイドランジを行い後脚の内転筋の遠心性収縮を行う。
・ターンして逆向きになり同じようにサイドランジを行う。
〔股割サイドベント〕
ポイント:股関節外転位をキープした状態で、脊柱の側屈を行う。下肢の安定感をキープしたまま、上半身を自由に動かせるようにする。
・股割姿勢で手を上で組み側胸部を伸ばす。
〔ランジ片手のばし(上)〕
ポイント:後脚の腸腰筋の遠心性収縮を促す。前脚のハムストリングス・大殿筋の収縮を意識する。腸腰筋ないろいろな角度で刺激を入れることで促通されるので、身体のポジションを変えながら刺激を入れていく。
・ランジダウンと同じ方法で行いランジ後に片手を上に伸ばす。
〔ランジ片手のばし(前)〕
ポイント:ランジ片手のばし(上)と同じ。
・ランジダウンと同じ方法で行いランジ後に片手を前に伸ばす。
〔World Greatest Stretch〕
ポイント:下肢を安定させて脊柱〜上肢にかけての回旋を行う。後脚の腸腰筋の遠心性収縮も意識させる。
・脚を前後に開いて開いた前脚の横に手をつき反対の手を開いていく。
〔バックランジツイスト〕
ポイント:フロントランジと違い、見えない状況で脚を出すために軸足となるハムストリングス・大殿筋の筋収縮のコントロールが難しくなる。
・後ろ向きになり片脚を出してランジ姿勢をとる。
〔伸脚足上げ前/横〕
ポイント:殿筋群・ハムストリングス・下腿三頭筋・足底筋群に刺激を入れる。
・膝関節を伸展した状態で脚を前→横に上げながら前に進む。
〔屈曲足上げ前/横〕
ポイント:殿筋群・腰部の筋に刺激を入れる。
・膝関節を屈曲した状態で脚を前→横に上げながら前に進む。
〔クロスランジ〕
ポイント:股関節外転筋群を中心に身体外側に刺激を入れる。
・横向きに立ち後脚を身体の前方でクロスさせる。
〔キャリオカ〕
ポイント:下半身始動の動きを作り地面からの力の伝達を意識する。
・横向きで脚を前後にクロスさえながら進む。

⒉上半身系メニュー

上半身の筋に刺激を入れる。体幹・胸郭・肩関節・肘関節・手関節の運動方向を意識して全ての運動方向に刺激が入るメニュープログラムにする。
【種目】
1広背筋ストレッチ:静的ストレッチ
2サイドステップ肩回し:動的ストレッチ
3肩関節後方ストレッチ/上:静的ストレチ
4肩回し:動的ストレッチ
5肩関節後方ストレッチ/下:静的ストレッチ
6対角線腕伸ばし:動的ストレッチ
7上・前腕ストレッチ:静的ストレッチ
8卍字伸ばし:静的ストレッチ
【解説】
〔広背筋ストレッチ〕
ポイント:肩関節を中心に身体の横を全体的に刺激を加える。
・片方の手で反対の手の手関節を握り遠位へ伸ばしながら、脊柱の側屈・骨盤を側方へ動かす。
〔サイドステップ肩回し〕
ポイント:肩甲骨を動かすイメージで前胸部・肩甲骨周辺の筋に刺激を入れる。
・サイドステップを行いながら上肢を大きく回す。
〔肩関節後方ストレッチ/上〕
ポイント:目線を上に向けて上腕三頭筋に刺激を加える。
・頭の上で、片方の手で反対の手の肘関節を持ちストレッチを行う。
〔肩回し〕
ポイント:肩甲骨をしっかりと動かし、肩甲骨周囲筋に刺激を入れる。
・肘を屈曲してジョグを行いながら、後方から前方にむかって肩関節を回す。
・半分でバック走に切り替えて、前方から後方にむかって肩関節を回す。
〔肩関節後方ストレッチ〕
ポイント:肩関節後方組織に刺激を入れる。
・片方の手を伸ばして、反対の手で胸の前で腕を組む。
・伸ばしている手は掌を正面に向ける。
・伸ばしている手を水平外転することにより、後方組織への刺激が強くなる。
〔対角線腕伸ばし〕
ポイント:動きの中で前胸部を対角線上に伸ばしていく。
・ジョグを行いながら上肢が対角線上に伸びるように動かしていく。
〔上・前腕ストレッチ〕
ポイント:手関節を背屈し前腕から上腕にかけての組織に刺激を入れる。
・肩関節を屈曲し、片方の手関節を背屈する。反対の手で手掌を把持し背屈方向へ動かしていく。
〔卍字伸ばし〕
ポイント:肘関節を屈曲することで前胸部への刺激がより強くなる。
・ジョグを行いながら上肢が対角線上に伸びるように動かしていく。
・肘関節は屈曲して行う。

⒊実践系メニュー

ウォーミングアップの段階で、投球に近い形の動きを取り入れる事で障害のリスクを抑える。ゆっくりとした動きの中で投球動作・代償運動の除去・イメージ通りの動きができているかを確認する。
【種目】
1.前後ランジピックアップ:動的ストレッチ
2.ツイストサイドランジ:動的ストレッチ
【解説】
〔前後ランジピックアップ〕
ポイント:一度前方に体重移動してから軸足に重心を戻すために、軸足にしっかりと乗れる感覚を身につけることができる。軸足に乗った後に前方移動することにより、軸足にたまった力を前方へ開放する感覚がつかめる。
・フロントレッグランジ→軸足に体重移動→ピックアップ
〔ツイストサイドランジ〕
ポイント:肘関節と膝関節を付けることで身体全体で軸足に乗る感覚を身につける。
・横向きになり踏込み側の膝関節と軸足側の肘関節をつける。
・その後、サイドランジを行いながら前方へ体重移動を行う。

リズム体操のポイント

リズムに合わせた動きを行い、その後70%の力で15mラインまでダッシュを行う。
静的ストレッチ・動的ストレッチで向上した全身の血流をキープさせて、実際のトレーニングで動ける準備を行う。
負荷としては70%程度で行い、この後のラダー・ミニハードル・ショートダッシュを100%で行える準備をする。

リズム体操のメニュー

1.Aスキップ
2.Bスキップ
3.Cスキップ
4.リズムスクワット
5.リズムランジ
6.リズムシングルレッグランジ
7.リズムサイドジャンプ
8.リズムサイドステップ股関節回し/外
9.リズムサイドステップ股関節回し/内
10.キャリオカクロス
11.リズムラットプルダウン
12.リズムローイング
【解説】
〔Aスキップ〕
ポイント:軸を意識して地面を蹴る感覚を身につける。
・片脚ずつ交互にニーアップスキップを行う。
〔Bスキップ〕
ポイント:Aスキップで感じた軸を利用し、脚を下ろした時に地面を捉える感覚を身につける。
・片脚ずつ交互にニーアアプスキップ→膝を伸ばして接地する。
〔Cスキップ〕
ポイント:Aスキップと違う刺激を入れることにより、軸を意識する感覚を身につける。
・前→横と片脚ずつニーアップスキップを行う。
〔リズムスクワット〕
ポイント:しっかりとスクワット姿勢で止まれるようにする。
・三拍子のリズムで片脚を振る→スクワットで止まる。
〔リズムランジ〕
ポイント:しっかりとランジ姿勢で止まれるようにする。
・三拍子のリズムで片脚を振る→ランジで止まる。
〔リズムシングルレッグランジ〕
ポイント:しっかりとシングルレッグ姿勢で止まれるようにする。
・三拍子のリズムで片脚を振る→シングルレッグで止まる。
〔リズムサイドジャンプ〕
ポイント:シングルレッグ姿勢で止まった後に、サイド方向にジャンプする。動きの流れでサイドジャンプするのではなく、シングルレッグで力をためた後でサイドにジャンプする。
・三拍子のリズムで片脚を振る→シングルレッグで止まる→サイドジャンプ
〔リズムサイドステップ股関節回し/外〕
ポイント:動きの中で股関節の動きをコントロールする。股関節は球関節で肩関節ほどではないが、可動域の自由度の高い関節となる。運動に関して一方向の動きではなく、複合的な動きが求められる。スタビリティとモビリティが強く必要となる関節である。
・三拍子のリズムサイドステップ→股関節を外側から回す。
〔リズムサイドステップ股関節回し/内〕
ポイント:リズムサイドステップ股関節回し/外と同様である。野球のトレーニングには多様性が必要であるために、色々な刺激(感覚)を身体に入力知る必要がある。
・三拍子のリズムサイドステップ→股関節を内側から回す。
〔キャリオカクロス〕
ポイント:脊柱の回旋・股関節の運動にプラスして地面を強く蹴る要素が加わる。キャリオカと比べて運動強度(レベル)が上がる。
・キャリオカ中に後脚で地面を強くける。
〔リズムラットプルダウン〕
ポイント:下半身と上半身を別々に動かすことで運動の多様性を獲得する。立位→歩行中→ランニング中→アンクルジャンプ中とレベルを上げてラットプルダウンを行うことで、運動の多様性を獲得できる。
・両脚でアンクルジャンプ を行いながら、ラットプルダウンを行う。
〔リズムローイング〕
ポイント:リズムラットプルダウンと同様。
・両脚でアンクルジャンプ を行いながら、ローイングを行う。

今回は投手のウォーミングアップについての解説を行いました。
野手でも考え方は同じで、選手が求めているものを明確に判断し、それに向けたウォーミングアップメニューを限られた時間で行えるように、組んでいくことが大切になります。
ウォーミングアップでは、全身に血流を循環させること、それに伴う可動域の拡大・筋や軟部組織の柔軟性の向上などを獲得することが必要です。今回紹介したウォーミングアップでは、野球(特に投手)に必要な動作を取り入れたウォーミングアップとなっております。各年代のチームや選手に合わせた、メニューの構築にお役立て頂ければ幸いです。


ここまでお読みいただきありがとうございます。
今後もプロアスリートのトレーナーに必要な知識や、治療に困っている人に役立つ情報を配信していきたいと思います。
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