101○ 2/9 書き下ろし「徒花の最後に」
「徒花の最後に」
期待してるなんて
ましてや
期待するなんて
雲の地面を歩いているようなものだ
烏滸がましいことを
平然とやってのける
その上涼しい顔をして
何かを得たような優越感
そんなものは
幻の産物
金色の米粒を両手に掬った瞬間
泥に変わってさよならさ
言葉にしないで
目線で示さないで
暖かい想いのまま
見守るだけで
気持ちはもう
あなたに向き続けるのだから
死に飲まれた後
誰にも知られずに
涙を一粒
この大地に落とせば
それでいい
***
黄赤青(きせきせい)