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【臨床栄養学】肥満と代謝疾患

病気は患ってからでは遅い。病気を患ってから、今までの食習慣や運動をしておけば良かったと後悔することになる。闘病生活が始まった後は通院と治療に時間とお金を割かれ、この病気は本当に治るのかと不安や心配にも襲われる。幸せの定義は人それぞれだとは思うが、その幸せな状態を達成するためには身体、精神、自由な時間、お金などが必要不可欠だ。病気になってしまうと、それらのリソースが問答無用で奪われてしまうためQOLが一気に下がってしまう。
こんなことは百も承知だとは思うが、病気を患っていない内はどうも現実味が湧かない。現実味が湧かないから食生活改善などの行動に繋がらない。ではどうしたら現実味を帯びるか。それは病気のことを知識として知っておくということが重要だと自分は考える。
この記事では臨床栄養学の教本を参考に、病気の概要とその症状、治療法についてまとめていきたい。自分の将来に起こり得る症状と、どんな治療法が待っているのか。それらを知っておくだけで日々健康的に過ごそうと思えるはずだ。

肥満と代謝疾患の概要

人間は毎日の食事から栄養素を取り入れ、それを利用して体内で必要な脂肪、たんぱく質を合成したり、あるいはこれらを燃やし、活動するためのエネルギーにしている。この一連の営みを代謝と呼んでいるが、これらの代謝の働きが阻害され代謝異常が起こる代謝疾患には肥満をはじめ、糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症などがあり、悪しき生活習慣が関与していると言われている。
不規則で栄養の偏った食習慣がその発病・進行に大きく関わっていることから、規則正しい食生活による適正なエネルギー摂取量により肥満を改善し、生活習慣を是正して疾病の発症または予防につなげる必要がある。

肥満、メタボリックシンドローム

・疾患の概要
肥満は脂肪組織にトリグリセリドが過剰に蓄積した状態のことを指す。肥満の判定は体格指数(BMI)を用いて行われ、BMI25kg/m²で高血糖、高血圧、脂質異常症の発症頻度が普通体重群の2倍以上になることから、BMI25kg/m²以上を肥満と定義している。BMI35kg/m²以上かつ、睡眠呼吸障害、心不全、腎機能障害、皮膚疾患、運動器障害など減量治療が必要な場合を高度肥満症と診断して治療対象となる。また、肥満と糖尿病や高血圧、脂質異常症が合併することで冠動脈疾患や脳血管障害を引き起こしやすくなることから、肥満とこれら2つ以上を疾患している場合はメタボリックシンドロームと診断される。

・治療
肥満症の治療には、食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法、外科療法などがあり、減量により種々の健康障害を改善することができる。
食事療法・・・疾患によって様々なアプローチ方法がある。これは個人的な見解ですが疾病を患うことで治療として強制的に食事制限されるのであれば、日々の食習慣を是正した方が、結果として自由に楽しい食事を行える回数は多くなると思っています。
運動療法・・・個人的な見解ですが、疾病を患って病院に行ったとしても運動療法は医者側から強制できないです。(入院すれば別ですが個人で頑張ってもらわないと医者が介入できる部分ではない)肥満を治療するためには結果、運動してくださいと医者に言われてしまうので、それならば病院に行くより先に自ら運動を行うことが合理的な選択だと思っています。
行動療法・・・日常生活のなかのどんな行動「くせ」が肥満と結びついているのかを明らかにし、感覚レベルで認知の「ずれ」を修復していく治療法。例えば早食いや夜食、間食などの程度を抑えるようにしたりする。
薬物療法・・・誰にでも投与してもらえる訳ではなくBMI35以上の高度肥満の患者に限られる。単純に痩せたいからという理由で病院に行っても投与してもらえないので注意。
外科療法・・・いわゆる手術のこと。肥満外科においては胃の縮小などが当てはまる。個人的な見解ですが胃の縮小を行ったとしても、それはきっかけに過ぎず結局は食事療法や運動療法によって体重を落とすしかないと思います。物理的に食べる量は制限されるとは思いますが、むしろ健常だった頃のように自由に食事が楽しめず苦労することが多くなる気がします。

糖尿病

・疾患の概要
糖尿病はインスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主微とする代謝性疾患群であり、その原因によって1型、2型、その他の型に大別される。日本人では95%以上の患者が2型糖尿病を患う。
代謝異常の長期間に渡る持続は特有の合併症をきたしやすく、動脈硬化症も促進する。2型糖尿病の発症にはインスリン不足とインスリン抵抗性が大きく関与しており、過食、脂肪摂取過剰、運動不足、ストレスなどの生活習慣はインスリン抵抗性を増大させる。
インスリンとは・・・簡潔に表すなら血糖値を下げる作用を持つホルモンのこと。人間の体で血糖値を下げる役割を持つのはインスリンだけ。

・症状
口渇、多飲、多尿、痩せ、だるさなどの症状があれば糖尿病を疑う。ただしこうした自覚症状は血糖値が常時200〜250mg/dL程度となってから出現する。(基準値は70〜110mg/dL程度)
糖尿病そのものというよりも、糖尿病によって他の疾病を患いやすくなることの方が問題である。

・治療
食事療法と運動療法が糖尿病治療の基本。糖尿病治療の目標は腎障害や動脈硬化症などの糖尿病性合併症の発症、発展を阻止することであり、そのためにインスリン感受性ないしインスリン分泌の改善により糖代謝状態を正常に近づけることが重要である。
糖尿病に一度罹患した場合には現時点では明確な根治療法がないので一生涯つきあっていくことになることが多い。糖尿病を患いながらでも健常者と同じように血糖値をコントロール出来る様にすることが目標となる。薬物療法として外から直接インスリンを投与する場合もある。

脂質異常症

・疾患の概要
生活習慣病の一つである脂質異常症は日本人の生活の欧米化に伴って急速に増加している。脂質異常症は糖尿病など他の生活習慣病を合併することによって高率に動脈硬化症を引き起こすため、食事療法を中心としたライフスタイルの改善が極めて重要となる。

・症状
脂質異常症はその典型的な症状により発見されることも多い。脂質異常症によく認められる特徴的な身体所見は、①黄色種②角膜輪③肝脾腫④動脈硬化症である。
黄色種・・・皮膚にリポタンパク質を貪食したマクロファージが集合してできる、黄色い腫瘤のこと。高コレステロール血症と高トリグリセリド血症の脂質異常症に合併して起こる。また頻度は少ないが、糖尿病に併発することもある。
角膜輪・・・高脂血症の患者が症状を感じることはほとんどないが、家族性高コレステロール血症の方では、目の縁やアキレス腱の中に特徴的なコレステロールの塊がみられることがあります。  黒目の周りに白い輪(角膜輪:かくまくりん)ができることもあります。
肝脾腫・・・肝臓と脾臓が肥大すること。脾臓は免疫をつかさどる臓器であり、おもに免疫に関連する疾患で腫大する。
動脈硬化症・・・心臓から全身に血液を送り込む役割を担う動脈の内壁が肥厚し硬化した状態を指して動脈硬化と呼称する。本症はこの動脈硬化が原因で身体にさまざまな症状が現れることを指す。

・治療
他の生活習慣病と同じく治療の基本は食事療法である。これにより改善されない場合、運動療法や薬物療法が行われる。

痛風

・疾患の概要
痛風は尿酸が体内で析出して尿酸塩結晶ができることにより、関節炎などをきたす疾患である。体内の尿酸量の増加(高尿酸血症)に起因して発症し、急性あるいは慢性の関節炎の病像を呈する。中年以降の男性に好発する代謝性疾患である。

・症状
痛風の症状は、足の親指のつけ根が赤く腫れ痛みを伴う。関節炎の一種であるため、手や肩や足首の関節、膝の関節などにも痛風の発作がありえるが、約3分の2が足の親指のつけ根に発症する。

・治療
血清の尿酸値を正常化(300μmol/L以下、5.0mg/dL以下)することにより、再発する痛風発作が予防され痛風結節の沈着をなくすことができる。痛風患者においては、長期に低尿酸血症とする食事療法や薬物療法が必要となることが多い。治療戦略として、まず体重のコントロール、プリン体摂取の制限、水分摂取、アルコール飲料の制限、利尿薬使用の差し控えなどを行なって、それでも高尿酸血症が是正されなかった場合は尿酸排出促進薬や尿酸生成抑制薬が考慮される。

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