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わたしの本棚

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#河出書房新社

わたしの本棚89夜~「推し、燃ゆ」

わたしの本棚89夜~「推し、燃ゆ」

 画像は朝日新聞のasahi.comからダウンロードしました。今回、芥川賞受賞作であり、文藝春秋3月号を購入して、選評と一緒に読みました。

 面白かったです。アイドルとは違って、「推し」というもの。現代のオタク文化にも広がるような感じで、一気に読みました。わたし自身、「推し」がおらず、ここまで思える対象があるのは、ある面、うらやましく思いながら読み進めました。

☆「推し、燃ゆ」 宇佐見りん著 

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わたしの本棚51夜~「シネマ落語」

わたしの本棚51夜~「シネマ落語」

今では、テレビのMCやコメンテーターとして有名な立川志らく師匠ですが、劇団を立ち上げたり、シネマ落語を創作したり、一門の俳句の宗匠をされたり、多方面で活躍される方です。映画と落語をドッキングさせたシネマ落語は師匠の創作落語で、映画を知って聴くと古典落語を知りたくなり、古典落語を知って聴くと映画を観たくなり、両方を知っていると、その世界にはまってしまいます。わたしが購入したのは、2010年1月18日

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わたしの本棚41夜~「おらおらでひとりいぐも」

わたしの本棚41夜~「おらおらでひとりいぐも」

 読んだ小説が映画化されたら観にいくし、逆に映画が良ければ原作を読んでみたくなります。この小説も芥川賞受賞時に読みました。東北弁の文体が評判になり、老後の孤独感と合いまった共感できる内容でもありました。でも、これが映画化と聞いて、最初は、ストーリー性の乏しい展開、どうやって映画化するのだろうと危惧しましたが、沖田修一監督の映画の方は、寂しさ1、2、3と脳内の様子の3人を配置したりして、面白かったで

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わたしの本棚26夜~「さざなみのよる」

わたしの本棚26夜~「さざなみのよる」

☆さざなみのよる 木皿泉著(河出書房新社)1400円+税

 小国ナスミ、享年43歳。癌でなくなる前後の彼女自身、彼女の身内、友人、少しだけ人生をともにした人たち、の目を通して、ナスミの死というものが描かれます。14話からなる話は、どれもふっと涙腺の緩むもので、市井の平凡な女性にすぎないナスミの生き方が、周りの人に、希望や勇気を与えるさまは、さざなみのように広がっていきます。

とにかくセリフがい

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わたしの本棚23夜~「聖者のレッスン」

わたしの本棚23夜~「聖者のレッスン」

 今年2月に伊丹市で、作者の四方田犬彦先生の講演会がありました。質疑応答、懇親会もあったので、そのために氏の最新の本(2019年10月発行で、当時の最新刊でした)を読んでおこうと購入したのがこの本でした。正直、西洋史の知識と教養に乏しい私には、難しかったです。東京大学の映画講義だそうで、実際の授業では関連するDVDを授業でみて、説明をすると書かれていました。

☆「聖者のレッスン」四方田犬彦著(河

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わたしの本棚15夜~「破局」

わたしの本棚15夜~「破局」

 ホラーとSF、ファンタジー小説の他は、作者が投影されている方が成功することが多いと思います。体験や等身大の主人公を描くことで、自分をさらけだすことで、活写される文章は魅力的です。この小説は、作者を彷彿させる主人公です。しかも、作者は憂いを帯びたイケメンで、父親はBUCK-TICKのボーカル櫻井敦司氏。今年下半期の芥川賞受賞作。

☆「破局」遠野遥著 (河出書房新社) 1540円(税込み)

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