嗚呼、残酷物語!性犯罪者と被害者が、再び出会ってしまう話!!|『エターナル・サンシャイン』(3)
テーマ発表!!
第1回、第2回に引き続き、映画「エターナル・サンシャイン」をベースに新しい物語を妄想します。
※「エターナル・サンシャイン」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 「エターナル・サンシャイン」は、別れた恋人のことを忘れるために「記憶除去手術」を受けた主人公の「後悔」や、「恋人との奇跡の再会」を描いたラブロマンスですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!
三葉 承知しました。
嘉村 前回ご紹介した「案①②」は、「エターナル・サンシャイン」同様、ラブロマンス(恋愛物語)のアイデアでしたよね。
三葉 ええ。今回は、「『エターナル・サンシャイン』風物語(ただし、ラブロマンスは除く!)」のアイデアを考えてまいりましょう。
案③
嘉村 それでは、「案③」です!
三葉 はい。「案③」は、「組の機密を守るために記憶を除去したヤクザが、後日、組長と奇跡の再会を果たす物語」です。
嘉村 ヤクザもの!
三葉 さて詳細をご説明する前に、ここで「エターナル・サンシャイン」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。
三葉 ……となります(より詳しくは第1回の記事で)。
嘉村 ふむ。
三葉 では「案③」に戻りまして、ストーリーをご紹介しましょう。……主人公はヤクザ。彼は、男気溢れる組長に惚れこんでいる。一方、組長もそんな彼をかわいがっている。
嘉村 ふむふむ。
三葉 物語冒頭、彼は重要な任務に就いています。一歩間違えれば組が壊滅しかねない大役ですが、彼は十分な成果を上げる。「よくやった」と組長が激賞。彼は組長の役に立てたことを嬉しく思いますが……同時に、寂しくもある。
嘉村 と言うと?
三葉 今回の任務中、彼は極めて重要な機密情報に触れました。任務が終わったいま、万一警察や敵に捕まって厳しい取り調べを受けてもいいように、その記憶を消さねばなりません。しかし記憶除去装置の仕組み上、機密情報のみをピンポイントに消すことはできない。彼は、「組に関するすべての記憶」を除去することになっているのです。同時に、組長を含む他の組員は「主人公に関するすべての記憶」を除去することになっている。つまり機密情報を完全に守るために、主人公はヤクザを辞め、カタギに戻るというわけです。
嘉村 なるほど。
三葉 先ほど申し上げた通り、主人公は組長を敬愛している。実親よりも大切に思っている。そんな組長、そして組の記憶を失うのはとても辛いことだが……仕方がない。すべては組長のためなのです。
嘉村 ふーむ。
三葉 かくして主人公や組長らは記憶を失い、主人公はカタギに戻る。……が、間もなく主人公と組長は偶然の再会を果たします。
嘉村 ふむふむ。
三葉 「組長が敵対組織に襲撃さける!ピンチだ!その時、偶然その場にい合わせた主人公が組長の命を救った」なんて展開ですね。主人公は驚く。「一体……オレは何をしているんだ?なぜ、こんな見ず知らずのオッサンを命がけで救おうとしているんだ!?」。
嘉村 おー……。
三葉 騒動がおさまり……「礼がしたい。食事をごちそうさせてくれ」と組長。そして、料亭で向き合う2人。妙に馬が合う。組長は「お前さん、ワシに命を預けてみないか?」と誘い、主人公は一も二もなく「ありがたくお受けいたします」と頭を下げる。ところが……間もなく2人は、ひょんなことから過去を知ってしまいます。主人公はショックを受けるが、致し方ない。これも組のため、組長のためなのだ。断腸の思いで「オレがここにいると、組に迷惑がかかります。……オヤジ、お世話になりました」。
嘉村 ふむ。
三葉 それに対して、組長は笑う「一度ならず二度も盃を交わすとはな。ワシとお前とは、よほど深い縁があるのだろう。お前は、一生ワシの傍にいるんだ」「しかしオヤジ。オレがここにいると組に危険が……」「わかっている。わかっているがな、どうしようもないだろ。運命には逆らえんさ」「オヤジ!!」。とまぁそんな具合に主人公は組に戻り、彼は組長のために尽くすのでした……で、おしまいです。
嘉村 なるほど!「エターナル・サンシャイン」はラブロマンス作品ですが、「案③」はその極道バージョン。言わば、「ラブロマンス in 極道」ってわけですね!
三葉 その通りです。
嘉村 ふむふむ!
三葉 さて、以上のストーリーを「エターナル・サンシャイン」と比較する形で整理してみましょう。
案④
嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。
三葉 はい。「案④」は、「裁判所の決定にしたがって記憶を除去した性犯罪者とその被害者が、後日、残酷にも再会してしまう物語」です。
嘉村 今度は性犯罪!
三葉 まずは、「エターナル・サンシャイン」との対比表をご覧ください。
三葉 ストーリーをご紹介しましょう。……舞台は近未来の日本。「記憶除去装置」が実用化されている。
嘉村 ほぉ。
三葉 主人公は性犯罪者です。彼は女子高生に対する暴行未遂の罪で逮捕され、裁判を受ける。そして「『今回の事件と被害者に関する記憶』の除去」を命じられる。……これは、再犯を防止するための措置です。
嘉村 なるほど。
三葉 ちなみに彼は、裁判では殊勝な顔をしていたのですが……それは弁護士の指示に従ったまで。実際にはちっとも反省していない。手術中も、「お前はオレの運命の相手だ。オレから逃げることはできない。お前のことは絶対に忘れないぞ。絶対に、絶対に」と念じていました。まぁ、結局は手術で記憶を除去されるのですが……。
嘉村 恐ろしいですねぇ。
三葉 ええ、まったく。
嘉村 ふむ。
三葉 それと同時に、被害者の女子高生にも「『今回の事件と犯人に関する記憶』の除去」が施されます。……これは、メンタルケアのためです。
嘉村 ふむふむ。
三葉 かくして2人はお互いの記憶を失ったのですが……それからしばらくして、偶然にも再会を果たす。
嘉村 ううっ!……怖い。
三葉 ふとしたことから言葉を交わしてみると、驚くほど話が弾む。まるで長年の友人のようだ。2人はすぐにいい雰囲気になる。
嘉村 嫌な予感しかしませんが……。
三葉 2人はデートを重ね……そして、ひょんなことから過去を知る。女子高生の顔がさっと青ざめる。逃げねば!しかし、あまりの恐ろしさに足がすくんで動けない。一方、主人公は嬉しそうに笑う「やっぱり僕たちは運命の相手だったんだね」……で、おしまいです。
嘉村 うーむ、救いようのない物語ですねぇ……。
三葉 別れた2人が再会し、ハッピーエンドを迎える「エターナル・サンシャイン」に対して、こちらは「バッドエンドの物語」。
嘉村 ふむ。
三葉 以上、「『エターナル・サンシャイン』風物語(ただし、ラブロマンスは除く!)」のアイデアをご紹介しました!
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「エターナル・サンシャイン」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)