相手の言葉を下敷きにして、決めゼリフを作ったり大団円感を醸し出したりする(直前の言葉を下敷きにするver.) ~映画「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」の場合
◆概要
【相手の言葉を下敷きにして、決めゼリフを作ったり大団円感を醸し出したりする(直前の言葉を下敷きにするver.)】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」
▶1
本作の主要キャラの1人・葛城ミサト(女性29歳)。
彼女は、「NERV(ネルフ)」という組織に属する戦闘指揮官である。
敵は謎多き生命体「使徒」。人類の未来のために、汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」を使って使徒と戦うのが彼女の使命だ。
いろいろあってある日、
・Step1:NERVが日本政府と対立した時のこと。
・Step2:日本政府はNERVの本部を占拠すべく、戦略自衛隊を送り込んだ。
・Step3:戦略自衛隊には非戦闘員への無条件発砲すら許可されており(!)、かくしてNERVの職員は次々と殺されていった。
そんな中、
・Step4:シンジ(エヴァンゲリオン初号機のパイロット)は物陰に隠れていた。
・Step5:だがやがて戦略自衛隊の隊員3人に見つかってしまった。
・Step6:リーダー格の男は無線機に向かって「これより排除する」と報告すると、シンジの頭に銃口を押し当てた。そして言った「悪く思うな、ボウズ」。
と、次の瞬間だった。
・Step7:どこからか銃弾が飛んできて、リーダー格の男に命中。彼は「うわっ!」と叫ぶとその場に倒れた。
・Step8:直後、ダダダダッという足音。ミサトである。ミサトが拳銃を撃ちまくりながら駆け寄ってきた。そしてスピーディに2人目を排除。
・Step9:さらに、3人目の頭部に銃口を向けると「悪く思わないでね」と言って引き金を引いた。
・Step10:かくして、あっという間に隊員3人を始末したミサト。彼女はシンジに声をかけた「さぁ、行くわよ」。
▶2
ご注目いただきたいのは、「悪く思わないでね」というミサトのセリフである。
これは戦略自衛隊の隊員の「悪く思うな、ボウズ」を踏まえたものであって、相手の言葉を下敷きにしたことで格好いい決めゼリフになったといえるだろう。
もしも隊員の「悪く思うな、ボウズ」という言葉がなかったら、もしくは、ミサトが隊員の言葉とは無関係のセリフを言っていたら、こうはいくまい。