無能の極み!!「驚異的に何もできないが、しかしど根性は持っている」系妹キャラの考察|『アホガール』(3)
本記事は、アニメ「アホガール」を徹底分析する特集の……第3回(最終回)である★
第2回:ヒロインにストーカーされ、そして対人スキルの狂った男
第3回(本記事):無能の極み!!「驚異的に何もできないが、しかしど根性は持っている」系妹キャラの考察
第1回からご覧になることをオススメします!
研究開始★
第1回では主人公・よしこ、第2回ではよしこによって人生を破壊された悲劇の人・明に注目した。
そして今回は……瑠璃!!
聞くも涙、語るも涙の彼女の人となりを見てみよう。
瑠璃の基本プロファイル
瑠璃は、現在小学5年生。
前回ご紹介した明の妹である。
そして、明の幼馴染のよしこや、その友人たちとは知り合いだ。
……と、ここまでであれば何てことない脇役に見える。
問題はここからだ!!
瑠璃というキャラの面白いところ、その特殊性を見てみよう★
【瑠璃の特殊性①】何もできない。……本当に何もできない
彼女は、何もできない。
徹底的に何もできない!!
……本当に?少しくらいはできるのでは?
よろしい。以下、彼女の学力、運動神経、家事スキルを詳しく見てみよう。
【何もできない①】学力
そもそも……名前を漢字で書くことができない(確認しておこう。彼女は小5だ!)。
テストはいつも0点である(ちなみに、『ドラえもん』ののび太が0点を取る確率は1~2割と設定されている。それに対して瑠璃は……10割!!)。
国語のテストを見てみよう。
「尊敬語にせよ」という問題だ。瑠璃は「来る」の尊敬語を問われて、「くるです」と回答する(「くるです」って……タラちゃんじゃあるまいし)。
同様に、「考え」の尊敬語を問われて、「きもち」と回答する(アクロバティック!!)。
続いて、算数のテストにおける彼女の回答を見てみよう。
……「11+3=9」。
……「2×2=5」。
……「2.35×5=45.23」。
彼女の学力がいかに破滅的か、ご理解いただけたと思う。
なお、瑠璃の学力ついて、よしこは以下のように発言している。
実際、瑠璃が宿題のかけ算に苦心する横で、よしこが「ほほう。かけ算とはこれまた難しい」と発言するシーンがある(明はドン引きしている……)。
つまり、瑠璃とよしこの学力は同レベルだと思われる。
一方、妹想いでシスコンの傾向がある明は、「頑張っているからこそ……不憫!」と同情し、
と、フォローにならないフォローをしている。
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【何もできない②】運動神経
瑠璃は勉強ができない。
……が、運動もできない!
自転車に乗れず、鉄棒もできない。縄跳びも、もちろんできない。
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【何もできない③】家事スキル
瑠璃は勉強もできず、運動神経もない。
その上、家事もできない!!
リンゴの皮を剥けず、裁縫もできないのだ。
ちなみに、運動や家事ができない理由について、瑠璃は「勉強以外ほとんど何もしてこなかったから」と説明している(それであの学力か……)。
【瑠璃の特殊性②】不幸体質
瑠璃は、不幸を招き寄せる体質のようだ。
彼女は、たびたび他のキャラ同士の争い(よしこ v.s 明、よしこ v.s 風紀委員長、よしえ v.s 風紀委員長)に巻き込まれ、突如胸ぐらをつかまれて涙目になったり、ぶん殴られて失神したり、あるいは履いているパンツを盗まれたりする。
中間整理
ここまで見てきた4つのトピックについて、グラフで整理してみよう。
……悲惨である。悲惨としか言えぬ。
はて、それでは瑠璃に優れたところはないのか?
じつはある。
すなわち……!
容姿については、特にこれといったエピソードがないので、これ以上言及しない。
気になる方は、以下のサイトのイラストで彼女のかわいさをご確認いただきたい。
ご注目いただきたいのは「常識」の方だ!
【瑠璃の特殊性③】常識人、そして圧倒的努力家!!
瑠璃は常識人である。
「常識」といっても定義するのは難しいが……ここでは「世間一般の感覚。多くの人に共有されている感性」くらいの意味だと捉えていただきたい。
……で、だ。
常識人たる彼女は知っているのだ。
そう……自分が何もできないことを。
世間一般の基準と比べて、あまりにも劣っていることを。
そして、彼女は理解している。
それは恥ずべきことであると。
妄想の世界で生きているよしこや、よしこを基準に世界を認識し、その結果やはり世間ズレしている明とは違う。
瑠璃には現実が見えている!!
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また、瑠璃は持っている。
自分が劣っているという「不都合な真実」を直視する勇気を!
そんな自分を変えたいと願う向上心を!!
さらに、不断の努力を重ねるど根性も!!!
……熱血系少年マンガの主人公のノリである。
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実際、瑠璃はテストで0点を取るたびに落ち込んでいる。そして毎日毎日勉強に取り組む。
ダメな自分を受け入れることはできない。
よしこがそそのかす。
「君はいい加減認めるべきだ。そう……アホは死んでも治らない!さぁ、早く諦めて、共にアホライフを楽しもうではないか!」
これに対して我らが瑠璃は、「たとえ可能性が限りなく低くても、私は……」と唇を噛むのだ!!
瑠璃が、よしこと共に自転車の練習をするエピソードがある。
瑠璃は何十回、何百回トライしても、1mも走れないでいる。
やがて日没が近づく。
……それでも瑠璃は諦めない!
「最初はできなくて当然なんだ。……何度失敗してもやり続ければ……いつか!必ず!」と立ち上がる。「絶対……絶対にできるまで帰らないぞ!」。
あっぱれな根性である!
これにはアホのよしこも脱帽。
まとめ
クリエイターの方へ!
ポイント①庇護欲
ここまで見てきた通り、瑠璃は極度のポンコツである。何をやってもダメ。しかし諦めない。努力を重ねる。でもやっぱりダメ……。
そんな彼女を見て、視聴者はどう感じるのか?
……不憫だと感じるのだ。
そして庇護欲をかき立てられるのである。
庇護欲というのは、「オレが守ってやりたい!」「オレが支えてやりたい!」というアレだ。
つまり彼女は、視聴者に愛されるキャラなのだ。
あなたが「愛されキャラ」を作りたい時には、瑠璃が参考になるかもしれない。
ポイント②想像してみよう。もしものび太や茉莉ちゃんが……
上述の通り、瑠璃は小学5年生である。
そして世界で最も有名な「ポンコツ小学5年生」といえば……そう!『ドラえもん』ののび太だ。
ところで、アニメやマンガの世界には様々なポンコツキャラが存在するが、瑠璃ほどの「呪われているかのようなポンコツ具合 × ど根性」タイプは少ない。
そこで、「もしものび太が、瑠璃のような性格をしていたら……」と妄想してみよう。
上手くすれば、『アホガール』とも『ドラえもん』とも違う、しかし素晴らしい作品が生まれるのではないかと思うのだ!
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考えてみよう。
のび太が猛烈な努力家で、しかし報われないキャラだったら……?
情に厚いドラえもんである。黙って見てはいられないだろう。
なにしろ彼には未来の世界の道具がある。テストで100点を取らせてやるのは難しいことではない。
ドラえもんはポケットから道具を取り出す(コンピューターペンシル、あるいは暗記パンあたりだろうか?)。
しかし……この世界線ののび太はそれを受け取るだろうか?おそらく「ありがとう。感謝するよ。……でも、僕、自分の力でやり遂げたいんだ!!絶対、やる!!」なんて言い出すのではあるまいか。
かくしてドラえもんは、のび太に気づかれないように、また、のび太のプライドを傷つけないように道具を貸そうとして苦心するのである。
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あるいは、のび太と比べれば知名度は落ちるものの、一部界隈ではじつによく知られているキャラ……そう!『苺ましまろ』の茉莉ちゃん(桜木茉莉)も無能系小学5年生である。
さて、考えてみよう。
もしも茉莉ちゃんと瑠璃が入れ替わったら……?
『苺ましまろ』をご存知の方にはご同意いただけると思うのだが……たぶん、かなり面白くなる(いや、『苺ましまろ』は既に神がかって面白いわけだが)。
アナちゃんとは、おそらくいまと同じように上手くやっていける。
また、伸姉からは相変わらず慈しまれるだろう。
瑠璃が頑張って勉強する隣で、「瑠璃ちゃんはそのままでいいの!ダメなところがいいの!」と伸姉が暴れる。瑠璃はショックを受け、ちぃちゃんが伸姉を引っ叩く……なんてシーンがありそうだ。
ちぃちゃんとの関係は、言わずもがなだろう。
ちぃちゃんはいい子である。上手くいくに決まっている。ちぃちゃんの勉強机で瑠璃が勉強しているシーン……なんてのも登場するかもしれない。
……さて、最も興味深いのは美羽との関係だ。
いまはやられっぱなしの茉莉ちゃんだが、これが瑠璃になると……美羽に抵抗し、時には加撃するようになるだろう。
フィジカルでは圧倒的に美羽に分があるだろうが、メンタルは瑠璃に軍配が上がりそうだ。美羽は、じつはメンタルが弱い。口喧嘩になると美羽が泣き出すかもしれない。
……なんて妄想を広げると、新しいアイデアが生まれるきっかけになると思うのです★
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アニメ「アホガール」の研究(全3回)はこれで終了です。ありがとうございました!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)