松葉杖とか眼帯とか、キャラには「視覚的な特徴」を与えよ!!|『東京流れ者』に学ぶテクニック
名作映画を研究して、創作に活かそう!
本記事では、「東京流れ者」に【キャラに「視覚的な特徴」を与えること】を学びます。
※「東京流れ者」については、別記事でも研究しています。詳細は、記事末尾の「関連記事」欄をご参照ください。
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「視覚的な特徴」を与えよ!
登場人物の区別がつかず、「えっ、これはさっき登場した人?それとも別人なの?」と鑑賞者・読者を混乱させてしまうことってありますよね。
特に、登場人物の数が多い時には混乱を招きやすい。
工夫が必要です。
はて、どのような工夫ができるでしょうか?
ブレイク・スナイダー(Blake Snyder/アメリカの脚本家、脚本研究家)は、「松葉杖や眼帯を与えよ」と言っています。
登場人物にはそれぞれ、読者の心に焼きつくような見た目の特徴が必要なのだ。しかもその特徴を繰り返し見せれば、登場人物の印象が強くなり記憶しやすくなる。<松葉杖>をつかせたり<眼帯>をつけるなんて、バカバカしいと思うかもしれないが、これが案外効果的なのだ。
※ブレイク・スナイダー「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」より引用
松葉杖と眼帯……つまり、視覚的なコンテンツ(映画やマンガなど)では、キャラに「視覚的な特徴」を与えよという教えですね。
なるほど!
確かに松葉杖をついていたり、眼帯を付けていれば、混乱は減りそうです。
「視覚的な特徴」は、作中で付与するとより効果的!
ところでふと思ったのですが……こうした「視覚的な特徴」って、作中で付与すると、より一層効果的なのではないでしょうか?
つまり、「初めから松葉杖をついているキャラ」を登場させるのではなくて、
・1:そのキャラが、ケガを負うエピソードを描く
・2:それ以降、松葉杖をつかせる
……とステップを踏むのです。
こうすることで、より一層記憶に残りやすくなるでしょう。
さらに、です。「あー、あの時ケガをした人だ!もう歩けるようになったんだね!よかったじゃん!」と親近感も湧いてくると思うんですよね。
眼帯も同様です。
最初から眼帯を付けていてもいいのですが、
▶ 事故に巻き込まれて失明 → 眼帯を付ける
▶ ものもらいで目が腫れる → 眼帯を付ける
……とステップを踏んでやると、より一層鑑賞者が親しみを抱いてくれると考えられます。
辰造と田中が「視覚的な特徴」を獲得する過程
さて、本作に登場する「記憶に残るキャラ」を2人ご紹介しましょう。
1人目は辰造。もう1人は田中。
彼らは大塚組(主人公・哲也と敵対する組)の組員で、哲也の命を狙っています。
つまり、本作の敵役ですね。
以下、そんな彼らが「視覚的な特徴」を獲得する過程を整理しました。ご覧ください。
<辰造の場合>
<田中の場合>
辰造にしろ田中にしろ、初めはただのモブに過ぎません。
2人とも大塚組の幹部のようですが、しかし鑑賞者にとっては「主人公に敗北するであろう敵役の1人」でしかない。
無論、記憶には残りづらい。
しかし彼らは主人公に敗北後、包帯を巻いたり、眼帯を付けたり、つまりは「視覚的な特徴」を持って再登場してきます。
すると鑑賞者は、「おっ!こいつはあの時のヤツか!」「お前、生きていたのかー!」と途端に親近感を覚えるようになる。
それどころか、愛着すら感じるようになる。
かくして彼らが死んだ時には、「まぁ、敵だもんね。主人公に殺されて当然だよね」と頭ではわかっているものの、「あー、死んじゃったかぁ……」と寂しさを覚えるようになるのです(最初はただのモブだったのに!)。
まとめ
以上、「視覚的な特徴」についてご説明してきました。
・1:登場人物に「視覚的な特徴」(松葉杖、眼帯 etc.)を与えることで、「登場人物の見分けがつかず、鑑賞者・読者が混乱してしまう」という問題を解決できる
・2:「視覚的な特徴」を作中で付与すると、より一層鑑賞者・読者の記憶に定着しやすい。さらに、親近感や愛着を感じてもらえるようになる
このテクニック、みなさんもぜひ使ってみてくださいねー!!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)