「キャラAが、妹の写真が飾られた写真立てを伏せる→起こす」という変化によって、Aが「辛い現実=重傷で意識不明の妹がこのまま死んでしまうかもしれない」と向き合えるようになったことを暗示する ~アニメ「ストライクウィッチーズ」の場合
◆概要
【「キャラAが、妹の写真が飾られた写真立てを伏せる→起こす」という変化によって、Aが「辛い現実=重傷で意識不明の妹がこのまま死んでしまうかもしれない」と向き合えるようになったことを暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「ストライクウィッチーズ」(第4話)
▶1
本作の主要キャラの1人・バルクホルン(18歳の少女)。
彼女は、精鋭部隊「第501統合戦闘航空団(ストライクウィッチーズ)」の一員であり、人類の敵「ネウロイ」と最前線で戦っている。
第4話冒頭、
・Step1:バルクホルンの部屋はがらんとしている。ほとんど物がない。数少ない私物の1つが、ベッドサイドのチェストの上の写真立てだ。しかしいま、なぜかそれは伏せられている……。
第4話中盤に明らかになることだが、じつはバルクホルンは苦しんでいた。
・Step2:彼女は、かつての戦いにおいて妹を守りきれなかったのだ。妹は重傷を負い、いまも意識不明のままである。
・Step3:バルクホルンは「私のせいだ!」「私がもっとしっかりしていれば!」と自分を厳しく責めた。そしてそれ以来、まるで死に急ぐかのように戦って戦って戦いまくってきた。自罰願望と、「妹がこのまま死んでしまうかもしれない」という不安や恐怖を忘れたいがためだろう。また、妹の見舞いにも行けないでいた。
ところがいろいろあって第4話終盤、
・Step4:バルクホルンは立ち直る。彼女はかつての冷静さを取り戻し、ストライクウィッチーズの中核メンバーとしてチームをリードするようになる。
・Step5:また、妹の見舞いにも行けるようになった。
・Step6:さらにラストシーン、バルクホルンの部屋の写真立てが起きている。そこに飾られていたのは、バルクホルン姉妹の笑顔の写真だった。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step1と6である。
・Step1では:写真立てが伏せられている。
・Step6では:写真立てが起きている。飾られているのは妹と撮った写真。
バルクホルンは、物語終盤に至るまで「妹がこのまま死んでしまうかもしれない」という不安や恐怖に向き合えなかった。だから、妹の見舞いに行けなかった。そしてまた、妹の写真を直視できず、写真立てを伏せていた。
しかし、物語終盤に立ち直った。辛い現実と向き合えるようになった。かくして彼女は妹の見舞いに行けるようになった。さらに、妹の写真を直視できるようになり、写真立てを起こしたわけだ。
つまり、【「キャラAが、妹の写真が飾られた写真立てを伏せる→起こす」という変化によって、Aが「辛い現実=重傷で意識不明の妹がこのまま死んでしまうかもしれない」と向き合えるようになったことを暗示する】というテクニックである。
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