おかしな「喜び・歓喜」 ~マンガ「ひとりぼっちの○○生活」の場合
◆概要
【おかしな「喜び・歓喜」】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:マンガ「ひとりぼっちの○○生活」(第1巻)
▶1
本作の主人公は、ぼっち(中1の少女)。
彼女は純粋で心優しい女の子だが……しかし極度の人見知り。そしてあがり症。さらにはネガティブ思考の持ち主である。
中学入学後、
・Step1:友達作りに苦労するぼっち。
・Step2:だが、やがてぼっちにも友達ができた。同じクラスの「砂尾なこ」だ。
・Step3:ある日、ぼっちの家になこが遊びに来ることになった。ぼっちは喜ぶ。大喜びである。ドキドキワクワクである。
というわけで、なこがぼっち宅を訪問すると、
・Step4:ぼっちは謎の着ぐるみ姿で出迎えた。
・Step5:それはぼっちなりの正装、いわば勝負服らしいのだが……なこは仰天。そして訊いた「何だその格好!?」「それは部屋着?それとも普段着?」。
・Step6:ところがぼっちはニコニコ微笑みながら「どうぞどうぞ!こんなところでは何なので上がってください!」。
・Step7:なこは呆れる「あ、聞こえてないな、こんにゃろ」。そう、いまやテンションマックス、友達の訪問が嬉しくて仕方ないぼっちにはなこの声が届いていないらしいのだ。
その後も
・Step8:なこが訊いた「今日はメガネをかけてきたんだけど、どうかな?似合う?」。しかしぼっちは相変わらずニコニコ微笑みながら「私の部屋は2階です」。なこが叫ぶ「また聞いてないし!」。
かと思えば、
・Step9:ふいにぼっちが言った「あっ!なこちゃん、眼鏡かけてる!」。なこが叫ぶ「遅いんだよ」。
・Step10:なこは気を取り直して言った「伊達メガネだけどな、格好つけてみた!」。ところがぼっちは……「こちらが私の部屋です」。なこは頭を抱える「また聞いてない!」。
▶2
嗚呼、なこちゃんが遊びに来てくれた!嬉しい!最高に嬉しい!
……というわけで、テンションマックスのぼっち。テンションが上がりすぎて、いまや彼女にはなこの声が届かない。ようやく会話が成立したかと思いきや(Step9)、すぐまた聞こえなくなる!
「嬉しすぎて周りが見えなくなっているわけか(笑)」「振り回されるなこちゃんがかわいいな(笑)」と思わず噴き出してしまった読者は少なくないだろう。