アニメ「それでも町は廻っている」第6話後半を2つの視点から分析する☕
引き続き、アニメ「それでも町は廻っている」を分析します。本記事で取り上げるのは第6話後半「出張メイドサービス」。これ以前のエピソードを分析した記事については、最下の「関連記事」欄をご参照ください!
分析対象
あらすじ
【ポイント①】歩鳥ははた迷惑な暴露屋だが、嫌な感じはしない。なぜだろう?
<1>
本話は、【<それまで上手く取り繕われていたもの>の本性を、歩鳥が図らずも暴いてしまう】という物語である。
歩鳥が白日の下にさらしてしまったものの内、主だったものを列挙してみよう。
・1:真田はエロ本を隠し持っている
・2:真田の性癖や好み(タッツンはエロ本をぱらぱらめくっている。真田に恋している彼女は、おそらく真田の性癖や好みを素早くチェックしたのだろう)
・3:双葉はじつは甘えん坊である
・4:双葉は大の音楽好きであり、かつベーシストである
・5:歩鳥は、他の誰よりもアホである
<2>
最も注目すべきは、最後の【<歩鳥 = 誰よりもアホ>という歩鳥自身の秘密が暴露されたシーン】だ。
というのも……もしもこのシーンがなかったらどうだろう?
この場合、本話は【皆が隠していたものを歩鳥が一方的に暴露していく物語】になり、「真田や双葉がかわいそうだよ。ったく歩鳥ってやつはさぁ……」と歩鳥が多くの鑑賞者からヘイトを集めていたと思うのだ。
ところが、である。
最後に歩鳥自身の秘密が暴露されることで事態は一変する。何しろ、これによって歩鳥は<一方的な加害者>から<被害者の1人>に変化するのだから。
かくして歩鳥はヘイトを集めるどころか、むしろ「へぇ、親しみが持てる奴じゃん♥」と好意度を高めた可能性が高い。
<3>
これ、「ドラえもん」を想起するとわかりやすいだろう。
「ドラえもん」では、往々にしてのび太がドラえもんの道具を使っていたずらしまくるものだが、この手のエピソードにはほぼ間違いなく【のび太が大きなしっぺ返しを食らう】というシーン(ママや先生に叱られる、ジャイアンやスネ夫に痛い目に遭わされる、しずかちゃんに嫌われる etc.)が用意されている。
そして、こうしたシーンがあるからこそ私たちはのび太にヘイトを感じないのだ。
本話に使われているのは、これと同じテクニックである。
【ポイント②】歩鳥の体に染みついているもの
<1>
続いてご注目いただきたいのは、【真田の家を訪れる際、歩鳥が手土産を用意する】という点である。
・1:誰に促されたのでもない。歩鳥自身が、ごく当たり前のこととして手土産を用意する
・2:格式ばった菓子折りなぞではなく、商店街の平凡なコロッケをいくつか買っていこうとする(その後、真田から「シュークリームを買ってきてほしい」とリクエストされることになるが)
<2>
一見するとこれ、<いつもテキトーで乱暴な歩鳥らしからぬ行為>に見えるのだが……よくよく考えてみると、いや、そうではない。
だって、歩鳥は幼い頃から商店街のオッチャンやオバチャンの中で育ってきたのだ。【人の家を訪問する時には手土産を持参すべし。ただし、高価なものはよくない。相手に気を遣わせてしまうから】といった<昔ながらの人付き合いの基本>が体に染みついていて当然なのである。
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(担当:三葉)