「ピンポーン。しばらくお待ちください」という自動改札機のアナウンスを流すことで、キャラがいま混乱しフリーズしていることを暗示する ~アニメ「げんしけん」の場合
◆概要
【「ピンポーン。しばらくお待ちください」という自動改札機のアナウンスを流すことで、キャラがいま混乱しフリーズしていることを暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「げんしけん」(第6話)
▶1
本作の主要キャラの1人・恵子(女子高生)。
派手なファッションに厚化粧、そしてやたらと騒がしい……彼女はいわゆるギャルである。
ある日、駅にて。
・Step1:恵子は、高坂(兄の友人、男子大学生)と遭遇した。
・Step2:高坂の顔をひと目見て恵子は胸をときめかせた。高坂は大変な美青年だったのだ。やっ、やばい!恵子は興奮する。
・Step3:恵子はどうにかして接点を作りたいと考えた。何か話題は……?直後、高坂がくるくるっと丸めたタペストリーを手にしていることに気がついた。恵子は訊いた「何ですか、それ?」。
・Step4:高坂は微笑んで「見る?」。恵子は即答した「超見たいです~❤」。
・Step5:高坂はタペストリーを開いて見せた。2mはあろうかというその巨大なタペストリーには……エロチックな萌えイラストがどどーんと描かれていた。
直後、
・Step6:恵子はフリーズする。げっ。まさかこの人……そう、高坂はその美麗な外見とは裏腹にコテコテのオタクなのだった。
・Step7:恵子は言葉を失う。沈黙。……この時、背後で自動改札機のアナウンスが聞こえる「ピンポーン。しばらくお待ちください。ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」。
・Step8:間もなく、恵子は我に返る。彼女は顔を引きつらせながら「かっ、かわいい絵ですね~❤」。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step7である。
恵子がフリーズしたのに合わせて、「ピンポーン。しばらくお待ちください。ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」という自動改札機のアナウンスが流れてくる。
つまり、にわかには受け入れがたい現実を前に恵子がパニックに陥っていることが、環境音によって示唆されているわけだ。