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真正面から否定・反論する代わりに、「もしくは○○だな」「それか○○かも」と応じる ~映画「ブリジット・ジョーンズの日記」の場合

上司「『アガニー・ヒーニー事件』はもちろん知っているよな?」
ブリジット「(愛想笑いを浮かべて)ええ、もちろんです。あんな大事件ですからね。えーと、渦中の人物の名前は……そう、アガニー・ヒーニー氏」

上司「(呆れて)それか2人いるのかもな。カフィア・アガニー氏とエレノア・ヒーニー氏だ」

映画「ブリジット・ジョーンズの日記」




◆概要

【真正面から否定・反論する代わりに、「もしくは○○だな」「それか○○かも」と応じる】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「ブリジット・ジョーンズの日記」

▶1

本作の主人公はブリジット(女性32歳)。


彼女は最近転職し、

・Step1:いまはローカルテレビ局のレポーターを務めている。

・Step2:時には硬派なニュースを扱うこともあるが、残念ながら彼女はその手の話題には弱い


というわけで、ある日のことだ。

・Step3:上司が言った「『アガニー・ヒーニー事件』の評決が今日出ることになっている。いますぐ高等法院に行け!そして硬派なインタビューを取ってこい!」。

・Step4:ブリジットは困惑する。アガニー・ヒーニーって何……?

・Step5:上司が訊いた「『アガニー・ヒーニー事件』はもちろん知っているよな?」


ブリジットは愛想笑いを浮かべると、

・Step6「ええ、もちろんです。あんな大事件ですからね。えーと、渦中の人物の名前は……そう、アガニー・ヒーニー氏」

・Step7:ブリジットの言葉に、上司は呆れる「それか2人いるのかもな。カフィア・アガニー氏とエレノア・ヒーニー氏だ」

・Step8:ブリジットは顔を引きつらせて「そうそう、そっちでしたね」。

・Step9:ハァ。まったくこいつは……。ブリジットのために上司が解説してくれた。曰く「ヒーニー氏はイギリス人活動家、アガニー氏はクルド人闘士。イギリス政府は、アガニー氏を死刑判決が出ている祖国に引き渡そうとした。ヒーニー氏はアガニー氏と結婚し、アガニー氏がイギリスに住めるように5年間戦った。そして今日その結果が出るんだ!」「わかったらさっさと行け!」。


▶2

ご注目いただきたいのは、「それか2人いるのかもな。カフィア・アガニー氏とエレノア・ヒーニー氏だ」という上司のセリフである。

要するに「アホ!『アガニー・ヒーニー』は2人の人物の名前だよ」とブリジットの言葉を否定しているわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白みを欠く。

そこで【真正面から否定・反論する代わりに、「もしくは○○だな」「それか○○かも」と応じる】という技法の出番だ。「アホ!『アガニー・ヒーニー』は2人の人物の名前だよ」を「それか2人いるのかもな。カフィア・アガニー氏とエレノア・ヒーニー氏だ」に置き換えたことで、ウィットに富んだセリフになったといえるだろう。


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