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比喩を使って、メインメッセージの「説得力」や「本当っぽさ」を高める ~映画「ノッティングヒルの恋人」の場合

マックス「(失恋して落ち込むウィリアムに対して、明るい口調で)現実をちゃんと見ろよ。元々上手くいきっこなかったんだ」「アナは女神だよ。そして、神に恋をした人間がどうなるかお前も知っているだろ?」

ウィリアム「悲惨な結末を迎える?」
マックス「ああ、例外なくな」

映画「ノッティングヒルの恋人」




◆概要

【比喩を使って、メインメッセージの「説得力」や「本当っぽさ」を高める】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「ノッティングヒルの恋人」

▶1

本作の主人公は、ウィリアム(男性30代)。

彼は、小さな書店を経営するごく普通の青年――というか、パッとしない青年である。


いろいろあってある日

・Step1ハリウッドの大人気女優・アナと知り合ったウィリアム。

・Step22人は惹かれ合い、やがて一夜をともにするに至る。

・Step3ウィリアムは歓喜する。まさに天にも昇る心地だ!


ところがひょんなことから、

・Step4:じつはアナには恋人がいると判明、2人は破局した。

・Step5:ウィリアムは大変に落ち込む

・Step6:後日、友人のマックスが励ましてくれた。彼は明るい口調で「現実をちゃんと見ろよ。元々上手くいきっこなかったんだ」「アナは女神だよ。そして、神に恋をした人間がどうなるかお前も知っているだろ?」

・Step7:ウィリアムが答える「悲惨な結末を迎える?」

・Step8:マックスがうなずく「ああ、例外なくな」。

※補足:神話においては、神に恋した人間は往々にしてひどい目に遭うものだ。例えば、ギリシャ神話の「月の女神セレーネーと、美青年エンデュミオーンとの恋物語」はよく知られている。


・Step9:その後、マックスは別の女性を紹介するなど、ウィリアムのために尽力してくれた。


▶2

ご注目いただきたいのは、「現実をちゃんと見ろよ。元々上手くいきっこなかったんだ」「アナは女神だよ。そして、神に恋をした人間がどうなるかお前も知っているだろ?」というマックスのセリフである。

要するに「アナはハリウッドスター、お前は冴えない本屋。元々が無茶だったんだ。さっさと切り替えて次の恋をしろよな!」とウィリアムを激励しているわけだが――ストレートにそう言ってしまってはまずい。

何がまずいのか。

第1に、あまりにも普通だ。面白みを欠く。

第2に、あまりにも普通なセリフゆえ、説得力がない。こんな平々凡々とした言葉では誰も励まされないだろう。


そこで、【比喩を使って、メインメッセージの「説得力」や「本当っぽさ」を高める】という技法の出番だ。

改めてマックスのセリフをご覧いただきたい。曰く「現実をちゃんと見ろよ。元々上手くいきっこなかったんだ」「アナは女神だよ。そして、神に恋をした人間がどうなるかお前も知っているだろ?」。

彼は、アナを「女神」に、そしてアナとウィリアムの関係を「女神と人間の悲恋」に喩えた

その結果、ユニークで印象的なセリフになったといえるだろう。また、「確かに身分違いの恋だもんなぁ……。元々上手くいきっこなかったんだ。諦めるしかない!」という説得力も生まれた。


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