アニメ「それでも町は廻っている」第3話後半を3つの視点から分析する☕
引き続き、アニメ「それでも町は廻っている」を分析します。本記事で取り上げるのは第3話後半「猫少年」。これ以前のエピソードを分析した記事については、最下の「関連記事」欄をご参照ください!
分析対象
あらすじ
【ポイント①】ナレーションでミスリードする
<1>
歩鳥と双葉が出会い、目が合ったシーンの直後、こんなナレーションが流れる。曰く「目。寄り目、涙目、ひいき目、弱り目に祟り目。目は人の心を映し出す鏡であり、それゆえに目を見れば心は通じ、理解し合えるものである」。
そしてこのナレーションのすぐ後、歩鳥は推理する「ふーん……この声変わりしてないっぷりから察するに、12~13歳の小僧だね。この年で金髪とはグレちゃってもう!」。
しかし実際には、双葉は男ではなくて女、さらに12~13歳ではなくて歩鳥よりひとつ年上であった。
つまり、だ。
ナレーションによると目を見れば心が通じるはずなのだが、歩鳥はまったく見当違いなプロファイルをしていたのである。そう、心が通じていないのだ!
<2>
作中にナレーションが入るアニメといえば、例えば「ちびまる子ちゃん」が有名だと思うが……どうやら私たちには【ナレーション = 神の視点からのコメント = その発言に誤りはない】という思い込みがあるようだ。
少なくとも私はそうだった。
それゆえに、ナレーションに反する本話のオチには大いに驚いた。
これ、<ナレーションによって鑑賞者をミスリードするテクニック>と言えるだろう。
【ポイント②】双葉はどのようなキャラとして描かれているか?
<1>
本話は、【副主人公・双葉が初めて登場するエピソード】である。
ゆえにクリエイター視点でいえば、
・1:鑑賞者に「ほぉ。双葉というのはこういうキャラか」とざっくり理解してもらう
・2:鑑賞者に「へぇ。面白そうなキャラじゃん。次の登場が楽しみだな」と興味を持ってもらう
……この2つをきっちりクリアする必要がある。
<2>
というわけで、はて。双葉はどのように描写されていただろうか?
詳しく見てみよう。
以下、私が特に重要だと感じた2つのポイントをご紹介する。
▶ POINT1:双葉は猫を飼っている。どうやら愛猫家らしい
一般的に、猫は自由気ままに行動する動物であり、愛猫家はその性格に惹かれているものだ。
ところで<自由気まま>って……そう、まるで歩鳥のことではないか!買い物に出かけたらいつまでも戻ってこないし、初対面の人の首をいきなり絞めるし、まさにやりたい放題。
つまり、だ。【双葉 = 愛猫家】というこの描写、私はこれは<歩鳥と双葉は相性ばっちりですよ。今後2人が関わり合うことで一体どんな面白いことが起こるのか……次話以降も目が離せませんね!>という制作者からのメッセージだと感じた。
▶ POINT2:双葉はひねくれ者だ。しかし素直なところもある
双葉はひねくれ者だ。意地悪と言ってもいいだろう。何しろ、歩鳥が勘違いしていることに早々に気づいていながらそれを指摘することなく、翌朝真実を知った歩鳥が気まずそうにするのを見てニヤッと笑うのだから。
だが、それでは双葉はすれっからしのどうしようもない不良かというと、いや、それは違うようだ。
ご注目いただきたいのは、【<コバン>という名前の由来に歩鳥が気づくシーン】である。歩鳥は言った「なんで猫に『小判』なんて名前を……あっ、『猫に小判』か!上手い!」。この時、双葉は恥ずかしそうに赤面するのだ。
つまり、ひねくれ者でありながら純なところもある……なんと魅力的なキャラなのだろう♥
【ポイント③】唇をどアップに
最後にもう1つ、私が特に好きなカットをご紹介したい。
すなわち、【じつは双葉が年上だったと明らかになったシーン】の次のカットである。
この時、一瞬だけ双葉の唇がどアップになるのだ。その唇はリップでも塗っているのかじつに艶やかで、いかにも大人っぽい。
<双葉 = パッと見では12~13歳の小僧だが、よくよく見れば大人の女性だった>ということが視覚的に伝わってくる上手いシーンだなぁと思った。
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(担当:三葉)