誰が「ぷー、くすくすくす」と笑うのか?|100%空気通信
「100%空気通信」は、クリエイティブ・ユニット「100%エア」の活動レポートです。
今回のテーマ
今回取り上げるのは、短編コメディ小説「街を歩いてたら、変な写真を撮られそうになった話」。
作者自身が、「作品の構造」や「ギャグの狙い」をご説明します。
今後、コメディ作品、ギャグ作品を創作する際のヒントになれば幸いです!
「街を歩いてたら、変な写真を撮られそうになった話」を読んでみよう!
まずは、短編コメディ小説「街を歩いてたら、変な写真を撮られそうになった話」をご覧ください。
※想定読了時間:3分
※注:「100%エア」のnoteや、Twitterに掲載しているものと同内容です。既にご覧いただいている方は読み飛ばしてください。
【トピック①】本作の構造
本作は、「1つのシチュエーションと、それに対する複数のボケ」からなる「大喜利」(正確には「大喜利」の中でも「とんち」)型の作品です。
・ベースとなるシチュエーション:街で買い物をしていると、カメラを持った女性に突然声をかけられた。写真を撮らせてほしいと言う。「なぜ僕なのか?」と訊くと……女性から予想外の言葉(= ボケ!)が返ってきた。
・ボケのパターン:11種類(パターン1~11)
【トピック②】「意外な分節」の面白さ
さて!本作の11種類のボケの中で、あなたが1番お好きなのはどれですか?
私が最も気に入っているのは、「ぷー、くすくすくす」(パターン1)です。
特に最後の1行、すなわち「ぷー、くすくすくす」と笑われたことに対する「ぷーじゃねぇだろ!ぷーじゃ!」というツッコミ!
これは、なかなかどうしてユニークだと思うのです(自画自賛)。
一体どこがユニークなのかと言えば……ズバリ、「ぷー、くすくすくす」を「ぷー」と「くすくすくす」に分け、「ぷーじゃねぇだろ!」とツッコんだ点です。
つまり、「あっ、そこで分節するの!?」という意外性が面白さにつながっていると思うのです。
---😶---
私はこの「意外な分節」が好きで、普段から脳内でアレコレ分節してみては1人で吹き出しそうになったりしているのですが……例えば!
「アベ政治を許さない」というプラカードをご存知の方は少なくないと思います。
安倍総理に不満を持つ人びとが掲げているアレです。
個人名の呼び捨て、カタカナ表記、そして「許さない」という強い拒絶の言葉……安倍総理を支持するかどうかは別問題として、かなりきつい表現と言えるでしょう。
で、ここで「意外な分節」!
「アベシン政治を許さない」なんていかがでしょうか。
総理のフルネーム「アベシンゾウ」を「アベシン」と「ゾウ」に分けたことで……どことなくファニーな感じがしませんか?
「アベシン政治」は「アベ『新政治』」とも読めるので……「『新政治』がダメなら、『旧政治』はいいのかな?」なんて考えてみたり。
あるいは、「シン」といえば庵野秀明監督。
「シン・エヴァンゲリオン」、「シン・ゴジラ」、「シン・ウルトラマン」……「シンアベ」とは、そういった類のものだろうかなんて思いを巡らせたり。
さらに、「アベシン?『安倍信用金庫』かな?」なんて考えたり。
「アベ政治を許さない」にあったトゲトゲしさが和らぎ、代わりに「ユニークな響き」や「見る者の想像力を刺激する力」を得たと言えるでしょう。
以上、「意外な分節」の効果についてご説明しました。
【トピック③】誰が「ぷー、くすくすくす」と笑うのか?
ところで。
「ぷー、くすくすくす」とはかなり特徴的な笑い方ですが……「『ぷー、くすくすくす』と笑う人やキャラといえば?」と訊かれたとして、あなたは誰を思い浮かべますか?
おそらく、「この素晴らしい世界に祝福を!」の駄女神ことアクアを想起する人が最も多いでしょう。
次点は、「未確認で進行形」の真白でしょうか。
「ジャパニメーションにおける『ぷー、くすくすくす』系キャラ」といえば、この2人が代表格と考えて間違いないと思いますが……はて。
ふと思ったのですが……この2人は「普段は『ハイスペックでしっかり者の有能キャラ』風にふるまっているが、じつは『幼く、マヌケなところがあり、さらに泣き虫の寂しがり屋』」という点が共通していると言えるのではないでしょうか。
つまり「ぷー、くすくすくす」は、「本当は『幼く、マヌケなところがあり、さらに泣き虫の寂しがり屋』なキャラが、自分のそういった弱さを棚に上げて相手を嘲笑するときの笑い方」と定義することができると思うのです。
したがって「アクアや真白のような2面性のあるキャラ」を作るときに、「ぷー、くすくすくす」と笑わせてみると、いい具合にそれっぽくなる可能性がありそうです。
続きはこちら★
---😶---
関連
---😶---
最新情報はTwitterで★
---😶---
最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)