「比喩・たとえ話・換言」がおかしい/間違っている ~アニメ「ミギとダリ」の場合 #2
◆概要
【「比喩・たとえ話・換言」がおかしい/間違っている】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「ミギとダリ」(第4話)
▶1
本作の主人公は、ミギとダリ(13歳の双子の少年)。
彼らは児童養護施設で育った孤児だったが、やがて園山夫妻(心優しき老夫妻)に引き取られた。
で、第4話――
・Step1:園山家の家政婦・光山が初登場した。
・Step2:光山は、よく言えば明るくてエネルギッシュ、悪く言えば騒がしくグイグイ距離を詰めてくるタイプのおばさんである。
というわけで、
・Step3:光山はミギをひと目見るなり……「みっちゃんって呼んでね♡」「聞いてた通り、カナリアみたいにかわいいわ~♡」「おばちゃんにいろいろお話聞かせて~♡」「すてきな髪ねぇ♡何色って言うの?」「ママの料理、何が1番好き?」「明日入学式なんだって?」とグイグイ攻めてきた。
・Step4:その迫力にミギはたじたじである。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step3の「カナリアみたいにかわいいわ~♡」というセリフだ。
ユニークな比喩がたくさん登場する本作だが、「カナリアみたい」とはこれまた珍しい表現である。
「カナリアみたいって何だよ(笑)」と笑って終わりにしてもいいのだが、せっかくなのでここではどのような意味が込められているのか考えてみたい。
ごく単純に考えると、
・推理1:カナリアといえば「鳴き声が美しい」 → ミギの声が美しいという意味か?
・推理2:カナリアといえば「羽が美しい」 → ミギの髪が美しいという意味か?
・推理3:カナリアといえば「神経質」 → ミギは線が細くて繊細そうでかわいいという意味か?
前後の文脈を踏まえると、私は「推理3」が妥当ではないかと思うのだが――それはさておいて、さらにメタな視点から深読みすることもできそうだ。
・推理4:カナリアといえば「炭鉱のカナリア=何らかの危険が迫っていることを知らせる鳥」 → ミギ(とダリ)が、園山家や、彼らが住むオレゴン村に迫る危険を最初に察知してそれを皆に知らせる役割を負っていることを象徴している?
いずれにせよ、「カナリアみたいって何だよ(笑)」と思わず噴き出したり、「それは声が美しいってことか?(笑)」「あっ、繊細そうでかわいいって意味?(笑)」などと推理して楽しんだりした鑑賞者は少なくないだろう。
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