そのキャラ・その作品ならではのユニークな比喩を使う ~アニメ「結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-」の場合
◆概要
【そのキャラ・その作品ならではのユニークな比喩を使う】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章-」(第2話)
▶1
本作の主人公は、須美(小6女子)。
彼女はかなりの名家の出身である。
・Step1:そしておそらくはそのせいだろう、幼くして「自分こそがこの国を守る」「この国のお役に立つ」という強烈な使命感・責任感を抱いていた。
・Step2:彼女はこの国を愛し、この国に誇りを持っている。将来の夢は歴史学者になること。戦前の日本についてもよく知っている。
というわけで――
・Step3:いろいろあってある日、須美が友人および担任の安芸先生と温泉に行った時のことだ。
・Step4:安芸先生は驚くべき巨乳の持ち主だった。
・Step5:須美たちは仰天する。
・Step6:須美はつぶやいた「喩えるなら戦艦長門……」。
・Step7:友人は首をかしげた「何それ?」。
・Step8:直後、須美は目を輝かせた。そして得意げな顔で「ふっ。旧世紀の我が国が誇る戦艦よ!詳しく話してあげる!」。
・Step9:友人は困惑して「うっ、うん……」。
▶2
ご注目いただきたいのは、「喩えるなら戦艦長門……」という須美のセリフである。
要するに「なんて大きくて立派なの!」と仰天しているわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白みを欠く。
そこで【そのキャラ・その作品ならではのユニークな比喩を使う】という技法の出番だ。
改めて須美のセリフをご覧いただきたい。
「喩えるなら戦艦長門……」。
「長門」は大日本帝国海軍の戦艦である。いわゆる超弩級戦艦に該当し、完成当時は世界最大のサイズを誇った。つまり超デカいわけだ。
しかしそれにしても――「巨乳を目にして最初に飛び出してきた感想が『喩えるなら戦艦長門……』って、どんなセンスだよ!(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。
まさに愛国少女の面目躍如、須美ならではの比喩といえる。