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「極端に劣ったもの」や「下品なもの」など、比較対象として持ち出した時点で失礼にあたるものと比較することで、強く叱ったり批判したりする ~映画「オットーという男」の場合

オットー「(車の駐車を苦手とするトニーに向かって)車の停め方も知らずにいままでよく生きてこれたな!まったく!」「犬だって――前足が1本しかなくておまけに白内障の犬だってお前よりは上手く運転するぞ」

映画「オットーという男」




◆概要

【「極端に劣ったもの」や「下品なもの」など、比較対象として持ち出した時点で失礼にあたるものと比較することで、強く叱ったり批判したりする】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「オットーという男」

▶1

本作の主人公はオットー(60代男性)。

彼は最愛の妻を半年前に亡くし、それ以来すっかり口うるさい偏屈野郎になってしまった


ある日、

・Step1:オットーの家の向かいに新たな住人(トミーとその家族)が引っ越してきた時のことだ。

・Step2:トミーは新居の前に車を停めようとする

・Step3:ところが上手くいかない。歩道に乗り上げる。外壁にぶつける。ひどいありさまだ。――そう、彼は車の運転が苦手なのだった。

・Step4:たまたま傍にいたオットーは「ゆっくりな」「おい、ストップだ!」と助言してやる


しかしダメ。また歩道に乗り上げやがった!

・Step5:オットーはもう見ていられない。彼は叫んだ「お前は車を降りろ!早く降りろ!」。

・Step6:そして、「車の停め方も知らずにいままでよく生きてこれたな!まったく!」「犬だって――前足が1本しかなくておまけに白内障の犬だってお前よりは上手く運転するぞ」とぶつぶつ文句を言いながら車に乗り込むと、見事なハンドルさばきで華麗に駐車してやったのだった。


▶2

ご注目いただきたいのは、「犬だって――前足が1本しかなくておまけに白内障の犬だってお前よりは上手く運転するぞ」というオットーのセリフである。

要するに「お前は信じられないくらい運転が下手くそだ」と批判しているわけだが――ストレートにそう言ってしまっては何も面白くない。

そこで【「極端に劣ったもの」や「下品なもの」など、比較対象として持ち出した時点で失礼にあたるものと比較することで、強く叱ったり批判したりする】という技法の出番だ。「お前は信じられないくらい運転が下手くそだ」を「犬だって――前足が1本しかなくておまけに白内障の犬だってお前よりは上手く運転するぞ」に置き換えたことで、ユニークなセリフになったといえるだろう。


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