主人公の魅力、それは……「オレたちにできないことを平然とやってのけるッ!」|『網走番外地』(2)
本記事は、54年前に公開された伝説のヒット作「網走番外地」を徹底分析する特集の……第2回(最終回)である★
<第1回>
第1回からご覧になることをオススメします★
研究開始★
主人公・橘の魅力
シーン①
シーン②
シーン③
シーン④
整理とまとめ
三葉「……というわけです」
嘉村「なるほどねぇ」
三葉「でね、最後に1つ追加でお知らせしたいことがありまして……」
嘉村「ほぅ」
三葉「今後クリエイターの方が、『橘真一をリスペクトしたキャラ』を作る際にご注意いただきたいことがあるんですよ」
嘉村「一体何でしょう?」
三葉「すなわち、『格好悪い姿を描くことも忘れずに!』……これです」
嘉村「ほぉ」
三葉「上述の通り、橘は私たちがなかなかなし得ぬことをサラッと実現する」
嘉村「そこがよいんですよね?」
三葉「その通りです。ただね、格好よい姿が延々描かれていたらどう思います?いや、無論そういうタイプの作品を好む方もいるでしょうが……少なくとも私は、『なんだい、こいつ。鼻持ちならないヤツだな!』とイラッとするんですよね」
嘉村「あー、かわいげがないというか……」
三葉「そうそう!」
嘉村「なるほど」
三葉「だから、『格好よさ』と同時に、『格好悪さ』も描いてやる必要があると思うんですよ」
嘉村「ふむ」
三葉「私が言うのもおこがましいのですが……その点、本作は完璧です!」
嘉村「へぇ!」
三葉「例えば、既にご紹介した通り、橘は何度も懲役房に入ります。つまり罰を受けている。まぁ、格好よい姿ではありませんよね」
嘉村「ふむ」
三葉「また、これは前回詳しくご説明しましたが……橘はお母さんに会いたがっているんですよ」
嘉村「あー、乳がんで余命が短いんでしたよね?」
三葉「そうそう。これまで親不孝してきたので、せめて最期に一言詫びたいと思っている」
嘉村「ふむ」
三葉「だから彼は、仮釈放を心待ちにしている……が!騒ぎを起こす!そして仮釈放が延期になるのではないかと不安に思い、自分の愚かさを悔い、嘆く!」
嘉村「ははぁ……」
三葉「……が!すぐにまた騒ぎを起こす。何しろ、売られたケンカは必ず買うし、『反省したふりをする』なんてできない人ですからね」
嘉村「うーむ……」
三葉「もうね、アホの極みですよ!」
嘉村「確かに……」
三葉「このように、本作には橘の『格好悪さ』も十分描かれている。だから、どれほど格好よくても嫌味がない。むしろ、『格好よいところもあれば、ダサイところもある』というその人間臭さをチャーミングに感じる。橘を応援したくなる……という次第です」
嘉村「なるほどねぇ」
三葉「とある高齢の男性が『私の憧れは橘真一。彼のように生きたい』と言っていましたが……ちょっとわかる気がするんですよね」
ご注意
本記事で引用したセリフは、三葉が実際に視聴しながら書き起こしたものです。脚本とは異なっている可能性がありますのでご注意ください。
特に句読点や、長音符の有無・位置は少なからず異なっていると思います。
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「網走番外地」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)