悪口・批判・反論を平然と受け入れることで、まともに取り合う気がないと示唆する ~ドラマ「セックス・エデュケーション」の場合
◆概要
【悪口・批判・反論を平然と受け入れることで、まともに取り合う気がないと示唆する】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:ドラマ「セックス・エデュケーション」(第3話)
▶1
本作の主要キャラの1人・メイブ(女子高生)。
彼女はかなり賢く、また鋭い感性の持ち主で、しかも大人びている。
そしてそのせいか人と群れることを嫌い、いつも不愛想。ゆえにクラスでは浮いていた。
彼女には
・Step1:ひどいニックネームがある。「ペニス噛み(cock biter)」だ。
・Step2:「サイモンという少年と性交していた時に彼のペニスを噛み、大変なケガを負わせた」というのが由来だが――じつはこれは虚偽。メイブにフラれたサイモンが腹いせに流した嘘だ。
・Step3:ところが元々メイブを好ましく思っていなかった同級生たちは「ほら見なさい!やっぱり頭のおかしい女だったのよ!」というわけで、彼女を「ペニス噛み」と呼ぶようになった。
・Step4:一方、メイブはその嘘を否定しなかった。「ハァ、マジでくだらねぇー……世の中バカばっか!」と呆れ、「訂正するのもアホらしい」と考えているようだ。
※補足:この辺りの事情は第5話で明かされる。
というわけで、
・Step5:ある日の放課後。
・Step6:メイブが知人と話していると、通りすがりの同級生が「何してるの、ペニス噛み」。
・Step7:メイブは口を開くのも面倒くさいという感じで「別に」。さらに「じゃあね。ペニス噛んでくる(Gotta go. Cocks to bite.)」と言って去っていった。
▶2
ご注目いただきたいのは、「じゃあね。ペニス噛んでくる」というメイブのセリフである。
普通に考えれば、同級生の言葉なぞ無視してやるか、もしくは「はいはい」「じゃあまた明日」とだけ返事すればいい場面だろうが――それではひねりがない。
そこで【悪口・批判・反論を平然と受け入れることで、まともに取り合う気がないと示唆する】という技法の出番だ。
改めてメイブのセリフをご覧いただきたい。
「何しているの、ペニス噛み」と言った同級生に対して「別に」「じゃあね。ペニス噛んでくる」。
同級生の「ペニス噛み」という悪口を平然と受け入れることで、「あんたらに何と言われようと私は気にしていないから」という揺るぎなさを示しつつ、「わざわざ『ペニス噛んでくる』なんて言わなくてもいいんじゃ……(笑)」という面白みもあるセリフになったといえるだろう。
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