「仲間と共に大喜びするキャラA→ところが、仲間が窓から差し込む光に照らされているのに対して、Aにだけは光が当たっていない」という演出によって不穏な空気を漂わせ、「えっ、何これ……」「絶対よからぬことが起こるよ!」と読者・鑑賞者にドキドキしてもらう ~アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」の場合
◆概要
【「仲間と共に大喜びするキャラA→ところが、仲間が窓から差し込む光に照らされているのに対して、Aにだけは光が当たっていない」という演出によって不穏な空気を漂わせ、「えっ、何これ……」「絶対よからぬことが起こるよ!」と読者・鑑賞者にドキドキしてもらう】は「読者・鑑賞者の心を掴んで離さない語り口」のアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」(第10話)
▶1
本作の主人公は、橘ありす(小6女子)。
彼女はアイドルである。某芸能プロダクションの「第3芸能課」に所属している。とはいえ、まだまだ目立った活動実績はない。同じ課に所属する同年代のアイドルたちと共にトレーニングに励んだり、下積み仕事に精を出したりしている。
いろいろあって第10話終盤、
・Step1:ついに……ついに……ついに!ありすたちの正式デビューが決まった。
・Step2:ありすたちは歓喜する。ある者はガッツポーズを取り、ある者は仲間と手を取って飛び跳ねた。
・Step3:そんなありすたちを見て、プロデューサーも思わず涙ぐむ。
・Step4:間もなく、皆は夢を語り出した。曰く「早くライブをしたい!」「ファンに会いたい!」「○○な衣装を着たい!」。
▶2
念願叶ってついにデビュー!一同大喜びである。無論、ありすだって喜びに打ち震える。
ところがこの場面には気になるところがあって、
・同僚アイドルたち:窓から差し込む夕日に照らされている。 →光の中に立っている
・ありす:部屋の奥の方にいるため、夕日が届かない。 →1人だけ陰の中に立っている
そう、明らかに不穏だ。
「えっ、何これ」「なんでありすにだけ光が当たっていないの……」「メチャクチャ嫌な予感がするんですけど……」「これ、絶対にありすによからぬことが起こるよ……」と胸騒ぎを覚えた鑑賞者は少なくないだろう。
ううっ、続きを見るのが怖い!
でも続きが気になって仕方がない!
かくして私たちの目は画面に釘づけになる……!
つまり、【「仲間と共に大喜びするキャラA→ところが、仲間が窓から差し込む光に照らされているのに対して、Aにだけは光が当たっていない」という演出によって不穏な空気を漂わせ、「えっ、何これ……」「絶対よからぬことが起こるよ!」と読者・鑑賞者にドキドキしてもらう】というテクニックである。
なお、私たち鑑賞者の予感は正しい。間もなくありすの苦悩が始まる。