「人から感謝されること」をモチベーションにすると、地獄に落ちるぞ!!|【第1話:もう戻れないと知ったあの日(1)】「ガヴリールドロップアウト」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・第1幕:完璧天使・ガヴリールが、修行の一環で人間界にやってくる。ガヴリールは「立派な天使になってみせます!」 → 人間界でも清く正しい生活を送る
・第2幕前半:ある日、「何事も勉強よね」とネットゲームに触れる → プリースト(聖職者)キャラになり、大活躍。他のプレイヤーから感謝される。ガヴリールは嬉しくなる → 有償アイテムを購入してしまう
・第2幕後半:かくしてガヴリールは堕落した → ある日、クラスメイトのヴィーネ(人間界で修行中の悪魔)がやってくる。ヴィ-ネは「あなたは天使でしょ!しっかりしなさい!」 → だがガヴリールは「私は<駄天使>だったんだよ!」と聞く耳を持たない
・第3幕:ガヴリールは「天界に強制送還」という最悪の事態を避けるべく、魔法で登校しようとする。しかし失敗。パンツだけテレポートしてしまう → ガヴリールは赤面。パンツを目撃した者を皆殺しにしようとする。ヴィーネが慌てて止める
ポイント②
<1>
いやぁ、じつに面白いですね!
考えてみれば、
・Step 1:品行方正な天使が、
・Step 2:ネットゲームにハマり、
・Step 3:「駄天使(≠ 堕天使)」と化す
……というだけのごくごくシンプルな物語なのですが、これが本当に面白い!
<2>
はて。一体全体、本話の何が面白いのでしょうか?
答えは明白。
ズバリ、ガヴリールの堕落っぷりでしょう。
私たちは、
・前半(第1幕~第2幕前半)の【清く正しいガヴリール】
・後半(第2幕後半~第3幕)の【堕天使ガヴリール】
……を比較して、「お前、堕ちすぎだろ!(笑)」「変わりすぎ!(笑)」と噴き出してしまうのです。
つまり、「落差」が笑いを生み出している。
ゆえに、重要なのは前半です。前半でしっかりと【清く正しいガヴリール】が描写されているからこそ、後半の【堕天使ガヴリール】が面白い。
もしも【清く正しいガヴリール】の描写が不足してたら、これほど面白い物語にはならなかったはずです。
ポイント③
<1>
改めて、ガヴリールが堕落する過程を確認してみましょう。
・Step 1:ある日、「何事も勉強よね」とネットゲームをプレイする
・Step 2:プリースト(聖職者)として活躍。他のプレイヤーから感謝され、「こんなにも喜んでいただけるなんて!」と感激する
・Step 3:逡巡するも、より多くのプレイヤーを救うために課金
・Step 4:以降、ネットゲーム廃人と化す
<2>
つまりですね、ガヴリールは、
・性質1:人から感謝されることに喜びを感じる
・性質2:一度感謝されると、さらに張り切る
……というキャラなのです。
そして、その結果として彼女は堕落した。
これ、【人から感謝されることに喜びを感じる人が、奮闘した結果として地獄に落ちる】という構図ですね。
<3>
そしてこの構図、いろいろなところで見かけますよね。
例えば……
・ブラック企業に勤める真面目な青年:彼は客や上司、後輩から感謝されることに喜びを感じ、不眠不休で働く。そしてやがて心身のいずれか、あるいは両方がぶっ壊れるのです。
・ダメ男に貢ぐ女:半グレや悪質なホスト、あるいはヤクザ。そういったダメ男に貢ぐ女っていますよね。彼女は男に尽くして尽くして尽くして、そして地獄に落ちる。
無論、誰かに尽くすことは尊いことです。が、しかし。それは地獄へ通じる道かもしれない。
「人から感謝されること」をモチベーションにすると、地獄に落ちる危険がある……!
制作者の方がどこまで意図されているかわかりませんが、本話は教訓的な物語だと言えるでしょう。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)