「キャラAは体育会系であり、モヤモヤした時にはとりあえず体を動かす癖がある」と事前に描写しておくことで、「Aがメチャクチャに体を動かしている→Aは悩んでいるんだな」と読者・鑑賞者に察してもらう ~特撮ドラマ「ウルトラマンZ」の場合
◆概要
【「キャラAは体育会系であり、モヤモヤした時にはとりあえず体を動かす癖がある」と事前に描写しておくことで、「Aがメチャクチャに体を動かしている→Aは悩んでいるんだな」と読者・鑑賞者に察してもらう】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:特撮ドラマ「ウルトラマンZ」(第22話)
▶1
本作の主人公は、ハルキ(男性23歳)。
彼は、地球防衛軍日本支部の対怪獣特殊空挺機甲隊「STORAGE」の隊員である。他の隊員とともに、日夜怪獣と戦っている。
ハルキは、ずばり体育会系の青年だ。
・Step1:空手が達者であり、口癖は「押忍!」。
・Step2:また、いつも明るく元気でハキハキしゃべったり、動きがキビキビしていたり、上下関係に気を遣うのも(ウルトラマンゼットが約5000歳と知ると急に敬語になる)、いかにも体育会系という感じである。
そしてまた、
・Step3:悩みを抱え、どうしていいかわからなくなった時にはとりあえず体を動かそうとするのも、体育会系の人間らしい癖と言えるだろう。
・Step4:例えば第13話のこと。「人々を守るためとはいえ、果たして怪獣を殺していいのか」「それは正義と呼べるのか」と思い悩んでしまった時、彼はメチャクチャに腕立て伏せをしている。
▶2
上述の通り、ハルキは体育会系の青年であり、モヤモヤしている時にはとりあえず体を動かす癖があるようだ。
というわけで第22話冒頭、「ハルキが1人武道場にこもり、汗を流している」というシーンを見て、多くの鑑賞者はピンと来たに違いない。「あっ、こいつ悩んでいるぞ……」と。
つまり、【「キャラAは体育会系であり、モヤモヤした時にはとりあえず体を動かす癖がある」と事前に描写しておくことで、「Aがメチャクチャに体を動かしている→Aは悩んでいるんだな」と読者・鑑賞者に察してもらう】というテクニックである。