「キャラAは1人だけ日傘を差しており、つまりは1人だけ日陰の中にいる→やがて日傘をたたみ、光の中に出てくる」という変化によって、心のわだかまりが解消され、Aが前向きになったと暗示する ~アニメ「スローループ」の場合
◆概要
【「キャラAは1人だけ日傘を差しており、つまりは1人だけ日陰の中にいる→やがて日傘をたたみ、光の中に出てくる」という変化によって、心のわだかまりが解消され、Aが前向きになったと暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「スローループ」(第2話)
▶1
本作の主要キャラの1人・恋(「こい」と読む、高1女子)。
彼女には、
・Step1:幼馴染がいる。ひよりだ。2人は幼い頃から大の仲よしだった。
・Step2:ところが3年前、ひよりの父が大病を患い、やがて亡くなった時のこと。恋はひよりの力になりたいと願いつつも……実際には何もできなかった。どうしていいかわからず、ただただ遠くから見つめるだけ。ひよりが一番辛くて一番悲しかったであろう時に、寄り添うこともできなかった!
・Step3:それが、恋のトラウマになっていた。彼女はいまも悔いている。私はダメだ!友達甲斐のないやつだ!――2人の友情はいまも続いているものの、恋は心にわだかまりを抱え、昔のように無邪気に付き合うことはできなくなっていた。
さらに最近、ひよりに新しい友人ができた。
・Step4:小春だ。小春は物おじしない少女。あっという間にひよりと親しくなった。そして父を亡くして以来ずっと元気がなかったひよりの心の扉を開けた。その証拠に、小春と出会ってからひよりはぐっと笑顔が増えたようだ。
・Step5:というわけで、恋は「私はダメだ。やっぱりダメなやつだ」。より一層自分を責めてしまうのだった。
そんなある日のことだ。
・Step6:恋はひより、小春とともにキャンプに出かけた。
・Step7:そしていろいろあって、小春と2人きりで話しをする恋。彼女はつぶやいた「私、ひよりの友達の資格ないんだ……」。
・Step8:すると小春は無邪気に笑った「友達に資格なんているの?」「アハハ!いらないでしょー、そんなの!」「一緒にいて笑顔になれたらそれだけでいいと思うけどなぁ!」。
・Step9:小春の言葉に、恋はハッとする。そうか、そういうものか……。この時、恋の心のわだかまりが解消された。かくして恋はかつてのように積極的にひよりに関わるようになり、小春を含めた3人はいままで以上に親しくなっていくのだった。
▶2
ご注目いただきたいのは、Step6-9である。
・Step6-8:このシーンでは、恋たち3人は青空の下にいる。しかし、ひよりと小春が太陽の光を浴びてきらきら輝いている一方、恋だけは日傘を差している。つまりは1人だけ日の光を浴びず、「陰の中」にいるのだ。
・Step9:小春の言葉に感銘を受けたところで、恋は日傘をたたむ。つまり、太陽光に照らされた「明るい世界」に出てくる。
「陰の中」から「明るい世界」へ――日傘という小道具を使って、恋の心のわだかまりが解消されたこと、そして前向きになったことが暗示されているわけだ。
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