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「大げさな言葉・表現」を使うことで、メインメッセージを強調する ~映画「アバウト・ア・ボーイ」の場合

ウィル「(シングルマザーは遊び相手として最高だということでシングルマザーに接近するが、彼女たちの体験談を聞く内に気分が落ち込んでいく)ひとつ悟った。男は皆ゲス!10分後、自分のペニスを切り落としたくなった」

映画「アバウト・ア・ボーイ」




◆概要

【「大げさな言葉・表現」を使うことで、メインメッセージを強調する】は「魅力的なセリフ、会話」を作るためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「アバウト・ア・ボーイ」

▶1

本作の主人公は、ウィル(男性38歳)。

彼は、よくいえば独身貴族、悪くいえばいい年して浮ついたダメ男である。今日も女遊びに忙しい。


ある日のことだ。

・Step1:ウィルは閃いた「激しいセックス!ちやほやしてくれるし、きれいに別れてくれる。寝るだけのつなぎの男を探しているシングルマザーは大勢いるはずだ!」。――そう、シングルマザーは最高の遊び相手だと気づいたのだ。

・Step2:かくして彼は、シングルマザーとの出会いを求めて「SPAT = シングルマザーやシングルファザーが集まり、互いに励まし合ったり相談し合ったりする会」に参加することにした。

・Step3シングルファザーのふりをしてシングルマザーに接近する……最高の計画だ!


で、初めてSPATに参加した時のことだ。

・Step4:ウィルは意気揚々と会場に足を運んだ

・Step5:ところがシングルマザーたちの体験談を聞く内に、ウィルの気持ちは沈んでいった。彼は心の中で叫んだ「ひとつ悟った。男は皆ゲス!10分後、自分のペニスを切り落としたくなった」。――シングルマザーたちの話を聞き、世の男どもがいかにクソか思い知らされたというわけだ。


▶2

ご注目いただきたいのは、「10分後、自分のペニスを切り落としたくなった」というウィルのセリフである。

要するに「自分が男であることが嫌になった」というわけだが――ストレートにそう言ってしまっては面白くない。

そこで【「大げさな言葉・表現」を使うことで、メインメッセージを強調する】という技法の出番だ。


改めてウィルのセリフをご覧いただきたい。

「10分後、自分のペニスを切り落としたくなった」。

ウィルが落ち込んでいるのは事実だろう。だがいくら何でも「自分のペニスを切り落としたくなった」というのは誇張であって、つまりこれは大げさな表現である。

そして、大げさな表現を使ったことで、印象に残る愉快なセリフになったといえるだろう。

加えて、ウィルが落ち込んでいること、すなわち彼がシングルマザーに同情・共感していることが鑑賞者に伝わりやすくなった。これは大切なポイントだ。だってウィルは主人公。鑑賞者から完全に嫌われてしまってはまずい。「こいつは確かにダメ男だが……しかし他人の痛みを理解することはできるらしいな」「こいつにも人間の心はあったか」と感じてもらうことが重要なのだ。


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