
「ホームセンターの温和な店員→じつは凄腕の元工作員。いざという時にはワンマンアーミーと化して敵をぶち殺していく」という展開を描く ~映画「イコライザー」の場合
マッコール「(死にかけの悪人に向かって)お前は薄汚れた床で息絶えるんだ」
◆概要
【「ホームセンターの温和な店員→じつは凄腕の元工作員。いざという時にはワンマンアーミーと化して敵をぶち殺していく」という展開を描く】は「読者・鑑賞者に好かれるキャラ、共感されるキャラ、応援されるキャラ」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「イコライザー」
▶1
本作の主人公は、マッコール(50歳くらいの男性)。
彼は、一見するとごく平凡な善人である。
・Step1:職業はホームセンターの店員だ。家族はいないらしく、小さなアパートの一室で1人で暮らしている。
・Step2:性格は温厚。誰に対しても礼儀正しく、親切で、そして面倒見がいい。ゆえに周囲の人から好かれている。人柄のよさがにじみ出ているようで、見知らぬ人から声をかけられることもある。
……が、よくよく観察してみると彼の言動には少しおかしなところがある。
・Step3:例えば、自宅に生活感がまったくないのだ。物が極端に少なく、そしてすべてがピシッと整っている。来訪者が「修道士の部屋かよ」と思わず呟いたほどである。
・Step4:また、職場の同僚から「以前はどんな仕事をしていたんだい?」と問われるとなぜか答えをはぐらかしたりする。
で、物語開始から30分ほど経ったところで――。
・Step5:偶然知り合った若い娼婦が売春組織からひどい目に遭わされていると知ったマッコール。
・Step6:彼は1人で組織を訪問し、「金を払うから彼女を解放してやってほしい」と頼んだ。
・Step7:しかし組織の連中はニヤニヤ笑って「何をバカなことを言っているんだ。あいつは若い。高く売れる。これからも売春させて搾取してやるぜ、廃人になるまでな!」と言い放った。
・Step8:かくして、マッコールはキレた。そして彼はその場に居合わせた男5人をぶち殺してしまった。――相手はマフィアで、さらに武器を所持していたにも関わらず、わずか数十秒で皆殺しだ!しかもショットグラスで相手の目玉をくり抜くわ、コルク抜きで相手の下顎を貫くわ、死にかけている相手の脇にわざわざ座り込んで「お前は薄汚れた床で息絶えるんだ」と語りかけたりするわ、とにかく尋常ではない。
・Step9:……じつはマッコールは、かつては海兵隊および国防情報局に所属し、凄腕の工作員として知られていた。年を取ったとはいえ、いまも常人離れした能力を各種持ち合わせているのだった。
▶2
マッコールは、一見すると温和な善人である。皆から好かれるいいやつだ。
が、じつは凄腕の元工作員。いざとなると大暴れ、文字通り「ワンマンアーミー」と化し、悪人をぶち殺していく――!
「超格好いい!」「このギャップがたまらない!」と感じ、一発でマッコールに好意を抱いた鑑賞者は少なくないだろう。
何しろ私たちは、「赤穂浪士」「忠臣蔵」の大石内蔵助にしろ、「水戸黄門」の越後のちりめん問屋の隠居にしろ、「遠山の金さん」の遠山金四郎にしろ、「能ある鷹は爪を隠す」型のキャラに惹きつけられるものなのだから。
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