やたら被害者ぶる国が多い中……!!|【第十二話(1) なんたる迷惑であることか!】「さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
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分析対象
三幕構成
ポイント①
<1>
本話は、「加害妄想少女 = 加賀愛」を中心に据えたエピソードです。
なお、「加害妄想少女 = 加賀愛」と「超ネガティブな男 = 望(絶望先生)」はどちらも後ろ向きで、一見するとよく似ているように思えるのですが……じつはまったく違います。
<2>
そもそも望は、隙あらば「絶望した!」と言って死のうとしますが、では実際に希死念慮を抱いているのかというと、これはかなり怪しい。
何しろ、本当に死にそうになると「死んだらどうする!」と顔を青くするのがお約束ですからね。彼の自殺願望はあくまでもポーズと考えるべきでしょう。
また、性格的には子どもっぽいところがあり、他人に厳しく、そして自分に甘い。
つまりですね、望は毎度理屈をこねくり回してアレコレ世の中を批判しますが、それらは全部、ヘタレな自分を肯定するための戯れ言なんですよ、たぶん(こうした望のダメっぷりこそが、「さよなら絶望先生」シリーズの見どころの1つです)。
<3>
対する加賀愛は、本物のネガティブ思考の持ち主です。
望とは違って、自分に厳しく、他人に甘い。
ポイント②
本話のストーリーをざっくりまとめると……
・第1幕:加賀愛が登場 → 望曰く「まさに加害妄想!」
・第2幕前半:引き続き加賀愛の加害妄想が続く → 加賀愛は「加害妄想交差点」へ
・第2幕後半:望らが加賀愛に合流 → 様々な加害妄想人が登場 → やがて望も加害妄想に囚われる
・第3幕:望が加害妄想ゆえに自殺を図る → 生徒たちが棺にすがりつく「私のせいで先生が死んだ!」 → 望が棺の中から飛び出してきて、「いいえ、私のせいです!」と主張
ポイント③
本話のオチは、マ太郎のこの一言です……「やたら被害者ぶる国が多い中、いい国じゃないか、この国は」。
マ太郎が初めて登場したのは「第三話の2」です。
それ以降、「ハードな生い立ち(不法入国 etc.)ゆえの独特な感性」に基づく言動をたびたび示し、物語に「毒 = ブラックユーモア」をもたらしてきたわけですが……毒、ここに極まれり!
「やたら被害者ぶる国が多い中、いい国じゃないか、この国は」は、「さよなら絶望先生」シリーズで最も知られたセリフの1つと言えるでしょう。
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