「比喩・たとえ話・換言」がおかしい/間違っている ~マンガ「ふうらい姉妹」の場合
◆概要
【「比喩・たとえ話・換言」がおかしい/間違っている】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:マンガ「ふうらい姉妹」(第1巻)
▶1
本作の主人公の1人・しおり(女子小学生)。
彼女は一見するとしっかり者に見えるのだが……じつはかなり独特の感性の持ち主。かくして、今日も周囲の人びとを唖然とさせるのだった。
さて、運動会でのことだ。
・Step1:高橋君(しおりのクラスメイト)が徒競走に出場している。
・Step2:しおりは彼を見つめて「高橋君、速ーい」「かっこいい」。そう、しおりは密かに恋心を抱いているのだった。
しばらく後、
・Step3:しおりは高橋君に声をかけた「あの……速かったね」。彼女は頬を赤らめて「まるで……まるで獅子舞のようだった」。
・Step4:高橋君は困惑する。えっ。獅子舞!?
・Step5:しかし高橋君は賢い。そして善人である。おそらくは褒め言葉なのだろうと理解し、戸惑いながらも笑顔になった「あっ、ありがと」。
さらに、
・Step6:高橋君は午後のリレーにも出場する予定だという。
・Step7:しおりは照れくさそうにエールを送った「また獅子舞のような走りを期待してるねっ」。
・Step8:しおりの言葉を受けて、高橋君は思う。うーむ、やはり聞き間違いではなかったようだ。そうか、獅子舞か……。
・Step9:高橋君は頷いた「がんばるよ!」。
・Step10:しおりは嬉しそうに微笑んだ。私、うまく言えたわ!
▶2
しおりは独特の感性の持ち主である。彼女は、徒競走で快走した高橋君に向かって「まるで……まるで獅子舞のようだった」。さらには「また獅子舞のような走りを期待してるねっ」。
「足が速いことを獅子舞にたとえるって、どんな感性だ!?(笑)」「どこから獅子舞が出てきた?(笑)」「それにしても、高橋君がいいやつすぎる(笑)」と思わず噴き出してしまった読者は少なくないだろう。